第9話 こういう出会い方では正直友達にはなれんよな
「おまえさぁ。店入って人の商談に口挟んで啖呵切るって相当やばい人だぜ」
「すいません。つい」
店から出て少し離れた場所でメッサーはNに文句を言う。
「あの、ありがとう、ございますでいいんですか」
「よかねぇだろう。むしろお前が謝れ」
「迷惑かけてすいません」
「いえあの、そんな、だまされそうになってるところで」
そんな感じで二人してお互い謝ることになる。
「で、ねぇちゃん。酒場のウェイトレスだろ。こんな短剣どうしたんだ」
「街に来た頃に古道具屋で見つけたんです。使い道は思いつかなかったけど、その宝石が気に入って衝動買いしちゃったんです。まぁ買ったところで手紙の開封や荷物をあけるのにくらいにしか使わなかったんですけど。それで、その、今度ちょっといいジャケットを買おうかなって思って」
「その軍資金として衝動買いして使わない剣を売り払おうって考えたってことか」
「そんな所です」
この人、どっかで見たことがあるような気がする。
少女はメッサーを見ながらそんなことを思うが、どこでみたか思い出せない。もしかするときのせいかもしれない。
サラという可愛い女の子、僕から見たらおねぇさん、メッサーから見ると、年齢がわからないが僕より年上っぽいからたぶんメッサーよりは年下、がじろじろ見ているのに気にしないのは女性なれしてるんだなぁ、とどうでもいいことを思いながらNは短剣を見た。
鉄の鞘にマジックアイテムの宝石が入っている。長さは、サブの武器と雑務をこなす一本としてはちょうどいいくらい。刃はあまりついてないみたいだが、せいぜい手紙の封を開けるくらいならこんなもんでいいだろう。鉄の質は良さそうだ。
「まぁこいつの迷惑賃だ。剣は取り扱ってないと思うが、石の方ならいい店を紹介するよ。きみが納得するならだが」
「そんなご迷惑じゃありませんか」
「俺の馴染みの店だ。客を紹介したほうが喜ばれるくらいだから迷惑なんてことはない」
「それじゃぁ」
少女は少し悩んだが。
「よろしくお願いいたします。あ、私の名前はサラです。一応自己紹介を」
とぺこりと礼をした。
「お前もこい。買ってくれるかは知らんが店の一つ紹介してくれるだろう」
「すいません」
Nはとりあえず平謝り。
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