平行世界28日目その3と29日目その1にゃ~
玉藻が2個目のタライは受ける必要がないような目を向けるので、2個目は怒っているから反射的に文句を言ってしまっただけと反論していたら、天皇陛下は何故か拍手していた。雪だるまタンコブが見たかったんだって。
ただし、神々に関わるとろくなことにならないとは理解したのか、三種の神器は人類が滅ぶようなことが起こらない限り使わないと誓ってくれた。たぶん、神様に呪われたくないのだろう。愚痴を言ったりタライを落とすヤツらだし……
三種の神器の確認が終わり、全てを片付けてゴンドラを鉄魔法で補強してあげたら地上に戻る。帰り道では徳川埋蔵金のことを詳しく聞いてみたけど、まさかあいつがあんな場所に隠していたとは……
ちなみに使わない理由は、日本国民にもしものことがあるまでの貯金。しかし、そんな長期保存したら価値が下がるのではないかと聞いたら、徳川埋蔵金に使われている金属は100%純金だから、価値は爆上げ。
20兆円どころの騒ぎじゃないらしい……
それなら「記念に一枚ちょうだい」と言って戻ろうとしたら、玉藻に首根っこを掴まれた。天皇家のお金はビタ一文くれないそうだ。
天皇陛下はくれると言ったのに、玉藻が一向に譲ってくれないので「にゃ~にゃ~」文句を言っていたら鯖折りに変わり、わしは玉藻の大きな柔らかい物に挟まれて窒息。そのまま地上に連行された。
目覚めたのは、春秋の間でポイッと投げ捨てられてから。リータとメイバイに浮気だなんだと問い詰められて怖い思いをさせられたので、小判の件は忘れた。
ようやく解放されたら玉藻の元へ逃げて苦情。どうして助けてくれないのかと怒ったけど、リータたちが睨んでいると教えられて、距離を取った。
「だからにゃ。玉藻はわしを殺す気にゃの?」
「そんなことより結果を聞かんのか?」
「結果にゃ? ……にゃんだっけ??」
玉藻の巨乳ロックで記憶が飛んでいたので、ここからは念話で話を聞くと、天皇家に魔力持ちがいるかどうか調べてくれていたそうだ。
「にゃるほどにゃ~……天皇陛下と皇太子殿下、男系男子に少し魔力があるんにゃ」
「分家はここにはおらんからわからんが、もしかしたら分家の男系男子にも、魔力があるかもしれないと話をしていたところじゃ」
「にゃ! だから長年、天皇は男系男子が継ぐことになってたんにゃ!?」
「それは殺し合いを避けるためじゃ。魔力に関しては副産物じゃろうな」
「副産物じゃない気がするにゃ~。まぁ【魔力視】の魔道具はあげるにゃ~」
この魔道具さえあれば、もしも本家が途絶えたとしても跡取りが見付けられるかもしれないので、プレゼント。天皇陛下も有り難く受け取ってくれた。
「何かこちらからもお返しできる物があればよかったのですが、お土産程度の物しか用意できなくて申し訳ありません」
「そんにゃのいらないにゃ。それに、うちの世界にも天皇家があるんにゃから、欲しい物があったらそっちから貰うにゃ~。この腕時計も、うちの天皇陛下から貰ったんにゃよ~?」
菊の御紋が入った物なんていくらでも手に入る。日本古来の物だって、わしたちの世界のほうがよっぽどたくさんあるので必要ない。
わしは申し訳なさそうにする天皇陛下の謝罪は押し返し、わしと天皇家の付き合いをにこやかに語るのであった……
天皇陛下とのお話は楽しく進み、夕食をゴチになってからようやく腰を上げる。その時、わしと玉藻の演武を見たいとなったので、腹ごなしに一芸。ついでにリクエストの凄まじいタライ「ガィィィン」ダブル。
皇族一同スタンディングオベーションで称えてくれたら、名残惜しいがさよならだ。
「シラタマ王。この出会いに感謝します。シラタマ王との繋がりは、今日、この日から、天皇家の新たな始まりとなるでしょう」
「それはお互い様にゃ。この日本へ来れて、わしたちの世界は確実に進化するにゃ。様々な技術を譲ってくれて感謝するにゃ~」
「その言葉は、技術を磨き上げた国民に掛けてあげてください」
「もちろんにゃ。もちろんにゃけど、その国民を常に支えているのは天皇家にゃ。国民のため、いつまでも栄え続けてくれにゃ」
「はい。約束します。それと、猫の国やそちらの世界の繁栄を、私も祈り続けます」
わしと天皇陛下ががっしり握手を交わす隣では、玉藻は皇太子殿下と。さっちゃんはいつの間に仲良くなったのか、未来の天皇確定の青年。リータとメイバイは、皇族の女性全員と握手を交わしていた。
「お互い苦難の時はあるだろうけど、常に国民のために行動しようにゃ。それじゃあ、バイバイにゃ~ん」
「「「「「バイバイにゃ~ん」」」」」
間違えていつも通りの挨拶で締めてしまったら、皇族全員わしの口調をマネするのでずっこけた。なので、リータに首根っこを掴まれてリムジンに押し込まれたので、別れのやり直しを求めることができないわしであったとさ。
ホテルに戻ったら、ララから聴取。カツ丼を出して聞き出そうとしたが、ララはお腹いっぱいらしいのでコリスに取られた。
てか、そんなことは必要なく、今日も
そのへんの話を聞くと、バズりそうと言うだけ。元女房が動画配信に嵌まりまくっているのは悲しいので、思い出話を念話でしてみる。
「そういえば、昔、お前は天皇陛下と会ってみたいとか言ってにゃかった?」
「今ごろ思い出したんだ……」
「いや、まぁ、すいにゃせん……」
「ウソウソ。会いたいというか、いつかあなたが
「あぁ~……呼ばれるわけがないと言ってた時にゃ。そんにゃ話をしたにゃ~」
「あの時にインターネットがもっと普及していれば、チャンスはあったのにね~。アハハハハ」
「わしはそんにゃことのためにやってないのは知ってるにゃろ~」
ララとの思い出話に花が咲いてしまったが、滞在時間は残り少ないということもあり、皆は一人、また一人と、自分のやりたいことをしに寝室に消えて行くのであった。
「ジュマル君って、寝相悪くにゃい?」
「寝てる時は猫なのよ。アハハハハ」
最後まで残っていた、ソファーの上で猫がひっくり返ったように寝るジュマルの話もしつつ、夜が更けるのであった……
翌朝の平行世界29日目は、わしはララとソファーで抱き合って寝ていたので、殺気で目覚めたからリータたちにスリスリごまスリ。
今日はとことん忙しいので、リータたちの撫で回しで気絶するわけにはいかないからなんとか耐えて、わしは朝ごはんを掻き込む。
それから皆には最後の一日は自由に過ごすように言い、わしは電話して東京中を走り回る。
技術を交換した会社に出向いて大きな物を納品し、爆買いした残りの物や受注生産で時間の掛かった大型の商品は現金払いで買い取る。
東京の住人は、電線のちょっと上辺りを駆け回るわしに驚いたりスマホを向けたりとしていたが、一瞬で通り過ぎるから何か確認できないので、新種のUMAが出たとか騒ぎになっていたらしい。
そんなこっちゃ知らないので適当な会社でランチをし、全て回り終わったら、予定時刻に余裕でセーフ。皆は今日はここでしかできないインターネットを楽しんでいたので、ララがしょんぼりしていた。
部屋から一歩も出ないから、撮れ高が少ないんだとか。でも、この水着でジャグジーしてる姿はネットに上げるのか? 高校生じゃろ??
ララもスウィートルームを堪能していたようだけど、今頃BANされる動画に気付いたっぽい。
コーヒーブレイクして雑談したら、またわしはお出掛けの準備。正装のわし、玉藻、さっちゃんの3人でリムジンに乗ってやって来たのは、夜の国技館。
今日は日本で過ごした感想だけを語る会見だけど、何故か国技館は満員御礼だ。
例の如くわしたちが壇上席に着いたら、会見の始まりだ。
「え~。日本国民のみにゃ様。こんにゃ得体の知れないわしたちを快く迎え入れてくれてありがとうございにゃした。並びに、けっこうやらかしてしまったことをここにお詫びしにゃす」
まずはわしの挨拶。温かい拍手にまざり、吹き出している人がいたから、ツカミはまずまず。でも、わしってそこまでやらかしてたっけ?
わしたちがペコリとお辞儀して席を着くと、少しだけ質疑応答。
「広瀬兄妹との関係」だとか「総理に何した」だとか「脳死の女の子に何した」だとか「UFOに乗せて」だとか「タンコブアンコール」だとか「エサを寄越せ」だとか「猫?」だとか……
答えられる物だけは答えて、あとは知らんぷりだ。でも、最初から猫だと言っておろうが……
「またこちらの世界に来られますか? 次回来られるとしたら、いつ頃になるのでしょうか?」
「UFOに魔力を溜めるのに10年は掛かるし、宇宙旅行もしたいから、それ以降になるだろうにゃ。次は、お土産に火星の土でも持って来てやるにゃ。いや、その時にはここでも、もう手に入れてるかにゃ? わしと勝負にゃ~」
「「「「「おお~」」」」」
この場にいる人は、火星のお土産よりもわしがまた来ると聞けただけで大満足。時間もあまりないので、早くも最後の質問だ。
「では、最後は皆を代表して私から。1ヶ月間の日本滞在はどうでしたか? 各々ご感想をお聞かせください」
司会の女性からの質問に、まずはわしが代表して答える。
「わしたちの前に、王妃たちから預かった手紙を読み上げるにゃ~」
リータたちは恥ずかしがって会見に出席したくないとか言うので手紙にしてもらったので、1人ずつ読み上げると、いい感想ばかりなので皆はニッコリ。子供たちの手紙にになると、ホッコリ聞いている。
ちなみに内容は、映画やアニメが面白かっただとか、ゲームや遊園地が楽しかっただとか、料理が美味しかっただとかの当たり障りない内容ばかり。
個人的には、もっと町とか人に触れてほしかったのだが、引きこもり状態になっていた皆では仕方がない。
最後にルシウスとエリザベスの手紙までを読み上げると、温かい拍手が……
「猫が……手紙を書いた??」
「わしが代筆したけど……にゃにか?」
「「「「「猫と喋れるの!?」」」」」
「だってわしも猫にゃもん!!」
念話の話もしたはずなのに、記者はいまさらわしが猫と意思疎通していると気付いて、自分の家の猫と喋ってくれと言い出すのであったとさ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます