平行世界8日目その2にゃ~
大怪獣『ネコゴン』やアメリヤ王国の近代兵器をボッコボッコにした写真をモニターに映してあげたら、海外の記者は黙ってしまったので一時休憩。
その休憩のなか、さっちゃんから誕生日に「ネコゴンちょうだ~い」と言われたり、玉藻に「なんちゅう脅し方をしとるんじゃ!」とかツッコまれていたが、10分経ったので質疑応答に戻る。
「確かにシラタマ王は驚異的ですが、アメリヤ王国の兵器では、まだ火力が低かったのではないでしょうか? こちらには、もっと強い兵器がたくさんありますよ?」
「にゃに~? わしとケンカしたいにゃ~??」
「い、いえ。少し気になったので……」
わしはなんと答えていいか迷い、違う話で逸らせないかと試す。
「強い兵器って、原爆のことにゃろ? 町ひとつを焼き払う兵器は確かに強いけど、わしは耐える自信があるにゃ。その後の体調不良は置いておいてにゃ」
「そんなわけは……」
「まぁ資料のサンダーバードを見てくれにゃ。そいつの体当たりは、おそらく隕石の衝突に匹敵するにゃ。それも、地球を滅ぼすレベルのにゃ。その力を耐えたわしが、原爆や水爆ごときで死ぬわけないにゃ~」
想像のつかない話でも、わしに萎縮しまくっている記者では事実かもしれないと考えてしまっている。質問者も、反論せずに座ってしまった。
「次は私です。現在、アメリカという国が最強の軍事力を誇っていますが、シラタマ王なら勝てますか?」
「また力の話にゃ~? もっと楽しい話をしようにゃ~」
「どうしても知りたいのです! お願いします!!」
「これで最後にゃよ? たぶん楽勝にゃ。わし、アメリカ大陸横断ぐらい、物の数分でできるからにゃ。それも、走ってにゃ。障害物だって関係ないにゃ。その速度にゃら、1日もあればアメリカは壊滅するんじゃないかにゃ~? 信用できないにゃら、アメリカ大統領でもさらって来てやるにゃ」
「是非!!」
「いや、冗談にゃよ? にゃんかアメリカに恨みでもあるにゃ??」
どこの国の記者かわからないが、めっちゃ目を輝かせているので逆に質問。でも、記者も「冗談でんがな~」とか言って座ってしまった。
「猫の国が他国に攻め込まれたら、シラタマ王はどうしますか? また、他国が侵略されたらシラタマ王は助けますか?」
さっきの質問者がブツブツと言っていたので念話で盗み聞きしてニヤケていたら、次の記者が急に真面目な質問をして来たので、少し対応に遅れた。
「うちが攻められたら……は、簡単にゃ。トンネルを塞いで鎖国するだけにゃ。それだけで、軍事行動はできないからにゃ」
「え……そんなに強いのに、反撃しないのですか?」
「反撃したら恨まれるからやらないにゃ。平和的に解決するのが一番にゃろ?」
「は、はあ……」
「んで、もうひとつの質問はにゃんだったかにゃ?」
「他国が侵略戦争された場合です」
「難しい質問だにゃ~……」
さすがにそこまで答えを用意していなかったので、保留にしたい。だが、さっちゃんと玉藻が「絶対に答えろ」と念話で圧力を掛けて来るので、ちょっと早いがお昼休憩のあとに答えることにした。
「にゃんでこんにゃの答えなくちゃいけないにゃ~」
別室でケータリングをバクバク食べながら、さっちゃんと玉藻に文句。
「だって~。私たちの問題でもあるも~ん」
「うむ。そちがどう動くかで、戦況がまったく変わる。聞かないわけがなかろう」
「自分たちのためにゃ!?」
さっちゃんたちからしたら、わしの行動は大問題なのだろうが、まったく考えていなかったので考える時間が必要だ。
なので、お腹いっぱいまで食べたら、ソファーに飛び込んでゴロン。
「寝てないで教えてよ~」
「いま考えてるんだから邪魔しないでくんにゃい?」
「ゴロゴロ言って寝ておったじゃろうが」
「さっちゃんが撫でるからにゃ~」
マジで考えていたけど眠気が来たけど、考えているんだから2人で邪魔しないでほしい。わしは2人にお昼寝を邪魔されながら、頑張って考えるのであった。
「え~……先程の質問にゃけど……」
結局、考えがまとまらないまま1時間の休憩が終わったら、質疑応答の再開。
「戦争が始まる前にゃら、わしは経済制裁を脅しに使って、対話の場を設けるかにゃ?」
超無難なことを言ってみたけど、さっちゃんたちも記者たちも納得してくれない。次の質問者にムリヤリ変えさせても、続きの質問が来ただけだ。
「対話に乗らなければどうしますか?」
「乗るってことにしてくんにゃい?」
「いえ。こちらでも、経済制裁をしてもまったく効果がなかった経験がありますので、他の解決策をシラタマ王に教えてほしいのです」
「わしが教えてほしいんにゃ~」
そんな世界的問題、学のないわしが答えられるわけがない。玉藻もさっちゃんもわからないクセに、しつこく聞いて来るのでわしもキレた。
「わかったにゃ! どっちの国もぶっ潰して猫の国にしてやるにゃ! これでいいにゃろ!!」
「それは困る!」
「シラタマちゃんは東の国だけに味方してよ~」
「それが嫌にゃらもう聞くにゃ! こっちの世界もめちゃくちゃにしてやるからにゃ~~~!!」
困っているのはこっちだ。わしは世界中に宣戦布告してやると脅して、この話を終わらせるのであった。
でも、さっちゃんは酷いな。わしを戦争の道具に使おうとしていたとは……
「えっと……温暖化って知ってますか? 世界中の気温が年々上がることなんですけど……」
わしが不機嫌にしているので、次の記者は無難な質問。周りの記者も「グッジョブ」って親指を立てているけど、そんなにいい仕事ではないぞ?
「知らないにゃ。わし、17年しか生きてないから気温の変化にゃんかわかるわけないにゃ」
「た、玉藻様はどうですか? 長生きですよね??」
「まず、その温暖化って言葉がわからん。少し説明してくれるか?」
「化石燃料がですね。二酸化炭素を……」
わらない言葉のオンパレードだが、玉藻は真剣に聞いて自分なりの答えを探す。
「要するに、人間の活動で気温が上がると言うわけじゃな。ならば答えは簡単じゃ。気温はお天道様が決める。数百年事に暑くなったり寒くなったりするんじゃから、そんなものなんじゃろう」
「え……」
「なんじゃ。
「いえ……」
おそらく玉藻の答えは記者の求めていた答えではなかったので、わしが変わってあげる。
「たぶん、化石燃料で気温が変化すると言いたいんじゃにゃい? うちでもその影響があるかを知りたいんにゃろ?」
「そうです! やはり二酸化炭素で気温が上がっていますよね??」
「そう言われても、うち、二酸化炭素を測定する方法を知らないからわからないにゃ。ま、そもそもうちに化石燃料がないんだよにゃ~」
「はい??」
記者には座るように促したが、他の記者もこの話は聞きたいのか続投を望んでいたので、数枚の地図を取り出して説明する。
「日ノ本の新津って場所に、魔力が排出されている場所があるんにゃ。ここだにゃ。ネットで調べたところ、この世界の新津では石油というものが湧いていたらしいんにゃ。わしの推測にゃと、ここでは化石燃料と呼ばれる物が、うちでは魔力に変わっているんだと思うにゃ」
「つ、つまり?」
「玉藻に暑くなったり寒くなったりするって実体験がある以上、二酸化炭素は関係ないことになっちゃうにゃ」
「そんな~~~」
記者は何故か崩れ落ちたので、次の質問者に理由を聞いたところ、温暖化を
「先程の魔力の話ですが、どういった経緯で魔力に変わったか、また、化石燃料を魔力に変換する技術があればお教えください」
「まったくわからないにゃ~。次の人、どうぞにゃ~」
超難解な質問なんて答えられないので流しているのに、魔力関係の質問しか来なくなってしまった。
「だからにゃ。わしたちの世界のほうが科学が遅れてるんにゃって。その差は学者先生と小学生ぐらい離れてるんにゃ。そう思って質問してくれにゃいと、答えられる物も答えられないにゃ~」
専門用語ばかりの質問では、わしたちの頭では限界。玉藻とさっちゃんは頭から煙りが上がっていたので、別室で水をぶっかけて冷やすのであっ……いや、普通に休憩するのであった。
「みんな頭よすぎだよ~」
「世界中の天才が集まってるんじゃなかろうか」
さっちゃんと玉藻は仲良くぐで~ん。テーブルに突っ伏している。
「まぁ賢い人が集まってるは正解だろうけど、たぶんアレで、上の下ってとこじゃないかにゃ~?」
「アレよりまだ上がいるの!?」
「どれほど妾たちと教育のレベルが違うのじゃ……」
「だいたい二十歳ぐらいまで勉強して、一部は一生を研究に費やしたりするからにゃ~……それが全て国力に変わるってわけにゃ」
「どうりでシラタマちゃんが教育に力を入れているわけだ……」
「完全に出遅れておる……しかし、子供の労働力をなくすと、どんな反発が来るか……」
「うちも無理! シラタマちゃん、なんとかして~」
玉藻もさっちゃんも諦めモードだけど、わしもやり方なんか知らない。
「にゃはは。新興国とすでに出来上がった国の違いだにゃ。うちは人口が少なかったから、わりとスムーズに移行できたんにゃ~」
「ズルイ~~~」
「どこがズルイんにゃ~~~」
さっちゃんがワガママさんになっては仕方がない。日本がどのように子供全てが学校に通えるようになったかを、あとで調べる約束をするわしであった。
「一緒に考えてよ~!」
「日ノ本も頼む!」
「にゃんで他国の国力をわしが上げなきゃいけないんにゃ~~~」
調べるだけでは許してくれないさっちゃんと玉藻であったとさ。
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