第5話
「これでマシになったかな?」
父上に押し付けられた不良債権、フォレスト商会に手を加えてから早半年。
後は衰退し続け、倒産するのを待つだけだったのだが、フォレスト商会の現状は僕の手によってだいぶマシなところまで持ち直していた。
僕の自費で馬を揃え、僕の自費で様々なものに投資し、僕の自費で王都以外にも店を作った。
大きな商会とは言わないが、まともに利益を出せるような商会へと早変わりした。
「よし……すべてはここからだ」
まともに利益を出せる商会。
ここがスタートである。
僕がこの半年でやってきたのは何の捻りもなくコネを増やし、広告を打って客を増やし、馬を使って輸送や行商人としての商売を始めたくらい。
あまり大きなことを……一つの商会を大商会に持っていけるようなことは行っていない。
それらを行うのはこれからである。
現代知識を使えば商売で俺TUEEEEの無双することくらい簡単なはずだ。
さっさとこの商会を大商会へと成長させ、こんな仕事からはおさらばしてやろう。
「リヴィア」
「なんですか……?今、書類を魔法で焼いて処分しているところなんですか……」
リヴィアは自分の手の中にある大量の書類を僕の方へと見せてくる。
「良いよ。それはあとで。どうせ大した書類は君に渡さず、個人的に処分しているし」
「え?」
「そんなことでいちいち驚くな。僕は君をそこまで信用していないんだ。それよりほら、出かけるよ」
「そ、そんなこと……出かける?どこに行くんですか?」
「裏組織のとこ」
「ふぇ?」
この半年で商会長としての立場を完全に奪われ、僕のお茶汲みとしての仕事をマスターしたリヴィアが呆然と声を漏らした。
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