第4話
「あぁー-----」
今までの……今まであった僕の平穏な生活は一体どこに行ったのだろうか?
「クソ……ッ。色々と面倒すぎだろ」
商会を立て直するために行動を始めた僕は実に多忙な日々を送っていた。
「うぅ……ごめん……ごめんなさい……私が不甲斐ないばかりに……」
「……うるさいんだけど」
僕は首を飛ばした職員……100名近くの人たちのことが書かれた書類を胸に抱き、涙を流すリヴィアへと視線を向け、ぽつりを言葉を漏らす。
ちなみに残った職員の数は30名くらいだ。
「あぁ……きっと彼らは再就職もできません……私が、私が不甲斐ないせいで彼らを路頭に迷わせてしまった。彼には家族もいたのにぃ」
「そもそも再就職できない程度の能力しかない人らを雇ってんなや」
いつまでも既に首を飛ばして三日経つ人たちに謝り続けるリヴィアにイラついてくる。
こいつの首も飛ばしてくれようかな?
まぁ、僕は一応アドバイザーという立場で商会長はあくまでリヴィアだからそんなこと出来ないんだけど。
「さっさと立ってくれる?明日は僕の小遣いで買った馬を受け取る日だよ?しっかりと従業員の子たちと連携とっている?ちゃんと受け入れる準備出来ている?というか、その泣きはらした瞳で取引先に会いに行くつもりなの?」
「うぅ……動きます。やってきますぅ……」
「やってきます!?やっぱり出来ていなかったの!?早くしてよね?後、そのがん泣き状態で行かないでね?既に大量の首切りで好感度が0に近い僕の好感度がマイナスに突入しちゃうから」
「わかりましたぁ」
ぐちょぐちょになった顔を拭いたリヴィアがよちよちと歩き出す。
まだ……目が赤いままなんだけど。
なんでまだ5歳である僕が長命なエルフの特徴を受け継ぐハーフエルフであるリヴィア……51歳に僕は説教して顎で動かしているの?
意味が分からない……彼女の51年の歳月で培ってきたものは何処に……?
「あぁーマジでなんでこんなことになったんだろ」
僕はぼそりと呟き、のどかに流れる雲を窓の中からぼーっと眺めた。
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