お人形さんとボク

ヤッキムン

小4

小4で大阪の小学校に転校してきた。

電車で、2駅も行ったら、京都府になる。


小3までは愛媛に住んでた。


お姉ちゃん、ふたりいる。こんど中3になるお姉ちゃんと、中1になるお姉ちゃん。


大阪の家に入ったら、なんとなく霊の存在を感じた。

ボクの部屋に入ったら、なんかお人形さんの気配を感じたけど、部屋には、お人形さんなど、どこにもない。


夜、寝ていたら、夢の中に、お人形さん出てきた。

ハワイかタヒチのような南の島の可愛いダンサーの女の子のお人形。

でも、夢の中で、顔も体も泥んこやった。


学校に行って、友達になったリオちゃんと、裏庭のあたりをなんとなく、ふたりで放課後に探してみた。

そしたら

「あーっ?なんか、お人形さん、転がってるでーっ」

って言って、リオちゃん、お人形さんを草むらで見つけてくれた。

「えーっ?ほんまにー?」

ボクもリオちゃんの指差すほうに行ってみたら、たしかに、お人形さん、転がっている。

「うわっ!ほんまや」

ボクはお人形さんをひろってみた。

「うわーっ!夢の中に出てきたお人形さんと、まったくいっしょやでーっ」

「えーっ?ほんまなんー?」

リオちゃんもびっくりしている。

「ほんまほんま!夢の中といっしょで泥んこやわ」

それから、ボクは、お人形さんを優しく洗ってみた。

夢の中に出てきたのと同じ、ハワイかタヒチのダンサーさんの女の子のお人形。

洗ってあげたら、顔も体もきれいになって、ボクを見て、笑ってくれてるみたいやった。


「リオちゃん。見つけてくれて、ありがとう」

「見つかって良かったな~。ほんまに、こんなとこにあるなんて...」

「リオちゃんいてくれへんかったら、見つかってなかったかもしれへん...」


家にお人形さんを持って帰った。

晩ごはんの時、お姉ちゃんふたりにお人形さんを見せた。

「これ、ええやろ~」

「うわっ!なに、このお人形さん」


「可愛いやろ~」

「南国のダンサーさんやなっ」


テーブルの上に座らせて、ごはんを食べた。


それから部屋に持って行って、タンスの上に置いた。


その日の晩、夢の中にまたお人形さん出てきた。

こんどは、笑って

「ありがとう」

って言っている。

それからピューッてボクのところにジャンプして飛んできた。

ボクは夢の中で、お人形さんをキャッチして抱きしめていた。


朝、起きて、タンスの上のお人形さんを見てみたら、お人形さんもボクのことを見つめている。優しく笑って。

そして、お人形さんの髪の毛と、腰に巻いてる衣裳、一瞬フワッとたなびいたので

「あっ!お人形さん、踊ってくれたーっ!」

って言ったら、ボクのほうに、ほんのちょっとススッて動いたようだった。









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

お人形さんとボク ヤッキムン @yakkimn

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ