第八話 初クエスト
コンパスのような依頼書を頼りに、俺たちは森の中を歩いてゆく。
「そういえば今、俺の見た目はどうなっているんだ?」
変えられると思ってランダム設定にしたキャラだが、変な奴だったら困る。
客観的に評価できる陽太に聞いてみよう。
「うーん、さっきも言った通り白い長髪で中性的だけど顔の形とか結構現実のお前に似てる。ていうかかなり美形になってる。」
「服はどう?結構風が入ってきて、動きやすい感じだけど。」
「ちょっとダークな感じのローブかな?首まで隠れてるけど通気性は良さそうだ。まあ、そんな変な見た目にはなってないし、むしろ普通に設定するよりカッコいいと思うぞ。」
おお、それならよかった。服装はネクロマンサーってイメージに近いのか。もしや職業に合わせて配慮してくれているのか?だとしたらすごいな。
「ほら、そういってるうちに見えてきたぞ、ゴブリンの集落。一応ポーション渡しておくからHP少なくなったら使えよ。」
そういって陽太は小さい小瓶のようなものを投げてきた。危ない。割れたらどうするんだ。
「割れたらどうするんだって言いたそうな顔だな。大丈夫、プレイヤーは使用意思がないとポーションは発動しないから。」
「このゲーム、プレイヤーの意思へのプライバシーゆるゆる過ぎない?」
「ほかのやつに見られないだけいいだろ。そのおかげでいろいろ動作を省けるし。」
「ほら、無駄話はここまで。お前だったら所見でも五体は倒せるだろ?」
「御冗談。十体やってやる。」
「「じゃあ行きますか」」
その一言で二人は示し合わせたかのように駆け出した。
俺は顔に笑顔を張り付ける。そして、駆け出す。
ゴブリンは子供ぐらいの身長で、肌は緑だ。まあ、解釈一致というところだろう。
まずは手前にいる一体を切る。小さい故斬りづらいが、ロングソードなので行けるだろう。だが動きが悪いな。仮面の効果が働いているのか?
さあ、次は二体。一体を蹴り飛ばし、転んだところで首を斬る。二体目は先ほどの盗賊から拝借した短刀を投げつける。腹部に刺さり、ゴブリンはそのまま絶命した。
「お前ほんと戦闘中性格変わるよな。」
陽太が何か言っているが聞こえない。
しかしこのまま物理というのも味気ないな。何かないか…そうだ!
「陽太!必殺技ってどうやって出すんだ?」
「必殺技?あれインターバルがきつくてお前今じゃ使えないだろ!チュートリアルで使ってるし!」
「使ってない!」
「は?」
「チュートリアルは物理で攻略した!」
「まじか…まあいいか、闇属性Lv 1だったら確か『職業名、プレイヤー名の名において願い奉る!我に力を与えたまえ』だった!最初の二つはは自分で変えろ!」
「OK!」
俺のプレイヤー名は恐。職業はネクロマンサーだから…
『ネクロマンサー恐の名において願い奉る!我に力を与えたまえ』
「ゴウッ」と音がして、俺の手にあった剣が紫に輝く鎌に代わっていた。
なんでこんなに扱いにくい武器…?かっこいいけど。
とりあえず振ってみる。すると…刃先から紫色の筋が出てくる。
斬撃が…飛んだ!?
斬撃はそのままゴブリンの体に直撃すると、少し深めの切り傷を残して消えた。
「しょぼいなあ」
思ったよりしょぼかった。かっこいいかまいたちみたいだ。ただそれだけ。
自棄になった俺は質より量だという風に、敵に向かって鎌を振りまくる。
そして後ろから迫っている一体に向け、刃を置いておく。
するとそこに向かってきたゴブリンが泡を吹きあっけなく刺さって死んだ。
ただ、それほど手ごたえがない。なぜだ?
ある仮説を思い付いた俺は敵陣に突っ込んでいく。
「おい何してんだ恐介ぇー」
「ちょっと試したいことがあって」
「ああそう…」
陽太からあきらめの雰囲気をかんじたが、気にしないでおく。
前のやつを浅めに切る。すると、数秒間苦しんで死んだ。
「やはりな。」
飛ぶ斬撃はあくまで副次的効果だ。本領は鎌に着いた毒だ。
先ほどゴブリンが泡を吹いて死んでいたからおかしいと思ったが、この毒でダメージを与えるのがこの鎌の使い方のようだ。
そうわかったら浅くてもいいからとりあえずゴブリンに傷をつけてゆく。
途中から陽太も参戦し、無事集落の殲滅は終わった。
しかしそのあとの魔石の取り出しが地獄だった。心臓の近くにあるので、解体しなくてはいけない。陽太は魔石だけドロップ設定にしていたらしい。裏切者め。
何はともあれ、俺たちの初クエストは無事に終了した。
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どうも!ゆるとうかです。投稿遅くなって申し訳ありません。
もうすぐ土日なので書き貯めできると思います。週2~3投稿は続けていく予定です。
明後日はクリスマスですね。クリスマスと言えばXmasと書く時のXとはキリストを差す「クリストス」の頭文字をとったらしいですよ。誤用かどうかは知りません。間違いたくない人はChristmasで書くことをお勧めします。
誤字報告ありがとうございます!細かいところまでみてもらてるんだぁって実感できてうれしかったです。
評価やフォロー、感想、誤字脱字のご指摘などがあると大変ありがたいです。
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