第五話 始まりの街

目を開けると、そこには一面の青空。


「おおー。グラフィック凝ってるなー」


俺は寝っ転がったままスポーンしたらしい。

とりあえず起き上がってみよう。


そこに広がっていたのは…。


絶景だった。

人は感極まると、何も言えなくなってしまうということを知った。

それほどに圧倒される景色だったからだ。

あたり一面を緑が覆い、どこまでも蒼い空には見たことのない生物が飛んでおり、巨大な山脈や湖なども一望できる。

境目によって空の色が違い、天候が違うのはやはりゲームでしかできないことだろう。

どうやら小高い丘に生まれたようだ。

そしてすこし下に目線を向けると中世の建築様式の街が見える。

中央に巨大な建物があり、そこを囲むように様々な建物が立っている。

そして何よりすごいのは五感があることだ。

心地の良い風が吹いている。そしてそれから土の、大地の香りがする。

町からは生活音や競りの声のようなものも聞こえてくる。

視覚は言わずもがなだ。

さらに触覚だ。熱を感じるし、湿度が低いことまでわかる。

中世ヨーロッパの建築なだけあって、地中海性気候に近い。

昔イタリアのポヴェーリア島に行ったとき、空港はこんな空気だった気がする。

ポヴェーリア島だが、あれは普通に怖かった。何か「出る」感じはした。

さすが世界有数の心霊スポットなだけある。


「これは神ゲーの予感がする」


グラフィックがきれいなゲームというのは、やはりクオリティの高いものが多い。

画質が良すぎると重くなってしまうが、こういう専用ゲーム機ならそういうことが少ない。パソコンでやる場合はスペックに大きく左右されるからな。


とりあえず陽太にLIMEしよう。

・今着いた

・了解。街の周りにランダムに生成されるから、とりあえず大きな門に向かってくれるか?


大きな門…あれか?堀に橋が架かっていて、その先に大きな門が見える。

結構遠いな。二十分あればつくかな?


・つり橋の先のところか?

・そうだ。問題は起こすなよ?入れなくなるからな。

・わかった。じゃあ二十分後に門の前で。

・じゃあな


よし、とりあえず降りていこう。

小高い丘から降りてゆく。落ちる感覚もある。

現実より少し身体能力が強化されている気がする。

普通なら50㎝ぐらいしか跳べないが、70㎝ぐらい跳べるようになった感じだ。

あと視力もよくなっている。いつも分厚い眼鏡をかけているので、眼鏡がなくても遠くを見ることが出来るというのはとてもうれしい。

というか感覚の強化がすごいな。目をつぶっていても歩ける。

そして森の中をくぐると…


「おい、あんちゃん金目の物はあるかぁ?」


厳つい山賊のような人たちが屯していた。

こういう引きは強いんだよね。笑えないな。


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5話目です。昨日は投稿できなくて申し訳ございませんでした。

別の話を書いていました。

そういえば、私は日本語好きなんですけど、国語あまり好きじゃないんですよね。

共感される方いられますか?

ちなみにポヴェーリア島は現在立ち入り禁止で入れません。まあそこは小説ということで見逃してください。

評価や感想、フォローいただけると大変うれしいです。それではまた次に。

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