★いつまで寝ているんだよ――馬鹿。
くすのきさくら
第1章 彼女の居ない世界を生きる
第1話 12月22日 木曜日 A
凍り付くような風が吹き。雪も舞いだした寒い寒い冬の夜。
とある町の通りにはいくつもの赤色灯が光っていた。
慌ただしく動く人と。何事かと眺めている野次馬たち。
その中心では――。
★
『——!——!』
誰かが叫んでいる気がする――。
あと、俺の身体を誰かが揺すっている気がする――でもわからない。何があったんだっけ?
とにかくわかることは身体が……痛い。動かない。痛み以外に感じることと言えば、何か硬い場所に俺はいて――ちょっと生暖かいような……。
俺は――硬いところにでもたたきつけられたのだっけか?ダメだ考えられない――気持ち悪いぞ――何故だ。ぶつかったのか?とにかく。今までに経験したことない痛みが全身を襲っている。
特に――頭がぐるぐる……くそっ。意識が――遠のく。
何も見えない。身体を動かせる感じは全くない。でも俺は――ぐるぐる回る頭の中では、手を伸ばそうとしていた。隣にいつも居る仲間を暗闇の中で探して……が。俺の手が何かに触れることはなかった。
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