3-2.クセ
3-2.クセ
「すまんが武器はまだ返せない」
ビルは頭を振った。
「あんたらが信用できると分かったら返す」
『そんな日が来るかねー』
フラニーが軽口を叩くが、誰も反応しなかった。
「私たちは構わないわ」
ルチアは平然としている。
変にビル達を刺激したくないのだった。
「あなた達はずっとここに?」
「まあな」
ビルは曖昧にうなずく。
「オレはヤツらが発生してすぐにモールに逃げ込んだ」
「ボクは友達と参考書を買いに」
ケンは無表情。
「わたしは仕事の途中でヤツらに追いかけられて」
ボーマンは大袈裟に天を仰ぐ。
「……」
RDはみんなの視線に気付いて、
「退役軍人だ、今は警備の仕事をしてる」
「ここの警備員?」
ルチアが聞くと、
「いや、夜間の警備だ」
RDは答える。
「私はルチア、ツインの彼女はジェニファー、ショートの彼女はマーガレット」
ルチアは簡単に紹介した。
「いわゆる工作員みたいなものね」
「ま、まあ、よろしく」
ビルが気さくに挨拶したが、ジェニファーとマーガレットは目礼を返しただけだった。
「とりあえず、アジトに帰る」
ビルたちはモールの店舗に立て籠っているとのことだった。
食料やトイレの問題で限界が近付いており、管理者ゾーンに避難に適した場所がないか見にきたらしい。
「まさか、あんたらみたいのが居るとは思わなかったがな」
ボーマンがニヤついた表情で言った。
「ボーマン、あまり失礼な事をいうな」
ビルが睨み付ける。
「おお、こわっ」
ボーマンは笑いながらRDの陰にかくれる。
「すまんな、みな窮屈な生活を強いられてるせいで過敏になってるんだ」
ビルが謝った。
「別に」
ルチアはビル達の後に続きながら、
「その手の事は気にならないわ」
「だと助かるよ」
ビルは適度な受け答えができるようだった。
なので、クセの強いメンバーの中で自然とリーダー格に収まったのだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます