第54話 大魔王降臨 その4

「はっはっは! 魔族と人間が戦ってるだって? いつの話だそりゃ!」


 大魔王ダイマと巨人族マクベス、そして人間の戦士アッシュはトレーニングを終え、ロッカーの前でプロテインドリンクを片手に談笑している。


「え、だって勇者様が魔王を倒しに行くって……んで、実際に戦いもして……なぁマクベス」


 大魔王のまさかの「魔族と人間は戦ってない」発言に、アッシュが困惑気味に筋肉ともに助けを求めたが……「え、あれはそういうお約束的な寸劇か何かじゃなかったのか?」という反応だった。


「もしかして、人間と魔族が敵対関係にあると思ってるのは……」

「人間の方だけ、だろうなぁ」

 アッシュの問いかけに対して、ダイマがそう答えた。


「そもそも、昔話が間違って伝わっているんだろう、そっちでは」とマクベスも付け加える。

「え、え、どういうこと?」


 アッシュのこれまで信じてきていたことが一気に崩れさり、なにがなんだか分からなくなった。しかし、一つだけ確かなことがあったのだ。それは「大魔王はいい筋肉イケオジだ」ということだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る