第52話 大魔王降臨 その2

 アッシュとマクベスの合同トレーニングが一段落ついて、二人はロッカーの脇でプロテインドリンクを飲んでいた。


「いやぁ、なかなかここのジムは設備が充実していていいな」

「だろ? 今では人間界からも熱心なトレーニーが通ってくるんだぜ」


 マクベスが、遠くでトレーニングをしている人間を指差して言った。

「例えば、あそこにいるのはチョウとヒデという有名若手ビルダーさ」


 アッシュはその名を聞いたことはなかったが、なるほど確かに少年の顔立ちながら筋肉は隆々としていた。っていうか、人間が魔王城に気軽に来てトレーニングをするって、一体どういう状況なのだろうか。マクベスにそのことを尋ねようと思ったが、それ以上に奥で黙々とトレーニングを続けている男性が気になって仕方なかった。見るからに相当なマッチョで、一人だけ雰囲気が違ったのだ。


「なあマクベス……あの一番奥でトレーニングをしているのって……?」

「え、ああ。あの方の凄さに気づくとはさすがだな……」

 いや、だってあれだけムキムキなら気づかないわけないだろとアッシュは言いたかったが、マクベスの言葉に背筋が凍る思いがした。


「あの方こそ、大魔王ダイマ様だ」

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