第47話 魔王襲来 その7

「今、お茶を入れてきますから」


 そう言って僧侶ハンナは部屋の奥へと姿を消した。

 魔王マオは椅子に腰掛けて、若干緊張した面持ちでじっとうつむいている。(どうしようどうしよう、ちゃんと謝らないと、そしてもう一回……)


 道化師ティファニーはマオの隣で彼女を見つめている。(がんばって、マオちゃん! 私がついているから!)その思いは残念ながらマオには伝わらない。


 テーブルを挟んで対面には普段着の勇者ユウ。こちらもマオと同じく両手を膝において、緊張のあまり体がかちこちになっていた。(えっと……これから何が始まるというの? でも、折角の機会だからマオに謝らないと……)


「どうぞ」


 しばらくして、台所から戻ってきたハンナが二人にお茶を差し出す。そしてユウと自分用にも同じものをテーブルに置いた。


「あ、わざわざご丁寧にどうも……」


 緊張が解けないまま、マオは目の前に置かれたお茶を飲み干した。同じタイミングでユウもお茶に口を付けた。「あっ!」ティファニーが何かに気づいたが遅かった。そして、ハンナが不敵な笑いを浮かべていたことに、三人とも気づいていなかった。

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