第18話 城下町、市場にて その2

 勇者一行はひとつ屋根の下生活している。いつ「魔王城にいく!」とユウが言い出してもいいように、常にそばにいて見張っていると言い換えてもいい。

 城下町にある勇者の自宅も、父である国王が買い与えたものだ。


 しかし、今日は戦士アッシュも僧侶ハンナもいない。二人とも国王からの呼び出しをくらったとのことで、ビクビクしながらお城まで出かけて行った。そんな中、ユウは一人で市場に買い出しに出かけているところだった。


(なんか……誰かにじっと見られている気がする)


 果物が売っている露店でのことだった。


 王女用のメイクもせず、すっぴんで髪の毛も後ろで一つにまとめている。服も貴族が着ることのない、若干薄汚れたぶかぶかのもの。どこからどうみても王女とバレる要素はないはず……と、ユウはできるだけ意識しないように心がけた。だが、長い間同じ場所から同じ視線を感じるので、ふと横にある果物を取るフリをして視線の主を見ると……。


(えっ……マオ……まさか?)

 マオにそっくりな人間がこちらを見つめていたのだった。

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