アルバム
アルバムをパラパラとめくってみるが、地下室のような写真ばかりだ。
ここはどこだろうか?
地下室を彷彿させる暗い部屋だ。
日の光が僅かに下から差し込むだけであとは何もない。
ベットと椅子、そして鎖のようなものがあった。
「……椎菜?」
そこには女性が写っている。
みすぼらしいベットに縛り付けられ、もだえ苦しむ所。
浴槽に沈められ唇が紫色になっている所。
ーー同じ女性が拷問紛いの扱いを受けている写真だった。
どの顔も椎菜そっくりで見ている俺がおかしくなりそうだ。
この写真の撮影者はすごく悪趣味だったようで、この女性に具体的に何をしたらどうなるかを書いていた。
ここまでくるともはや狂気そのもので、淡々と彼女が苦しむことを書いていた。
1枚目の写真は棒で痛めつけた。
2枚目の写真は穴という穴に水をいれて。
3枚目の写真は死なない程度の、火傷を追わせてた。
一体何があったら人間にこんなことができるんだろう?
俺は怖くなってアルバムを閉じた。
誰が、どんな目的でこんなものを撮ったんだろうか?
そして長谷野の家にあるのか。
「椎菜……?」
椎菜にそっくりな女性がどうしているんだろう?
考えれば考えるほど、わけがわからない。
俺はもう一度開き、女性の顔を見る。
見比べると、椎菜よりも大人っぽい。
椎菜自身には兄弟はいないはずだから、この人は誰?
俺は頭を抱える。
「……椎菜の母親?」
こないだ見た母親は確かに、椎菜そっくりだ。
「んん?」
そういえばこの部屋はどこなのだろうか?
もしかしたらこの屋敷かもしれない。
俺はそう思いアルバム内にヒントがないか探す。
「全くわからない……。」
この部屋はどうやらドアがない。
色々な角度の写真があるけど、やはりドアはない。
でも光は下から上に向かって出ている。ということはこれは上にある。
「まるで屋根裏部屋だな。」
俺はふと天井を見上げる。
そこには3つのはしごと、そしてーー。
「あ、あれ。」
窓側に一番はしごの上に不自然な枠のようなものがある。
俺はそのはしごに登る。高さは2メートルくらいだが、あまり固定されているとはいえず、1段1段に気を使う。
「ふう。」
俺はなんとか天井まで行くと、枠を押す。
ガチャン!
と音を立てると、たしかに写真とそっくりな部屋があった。
埃は被っているが、ベッドと椅子に鎖があった。
古い血痕の痕、錆びた鎖が落ちていた。
「……。」
椎菜はこれを知っているのか?
椎菜の母親が拷問された写真が長谷野の家にある。
長谷野と椎菜の関係は、俺が想像もしないことなのだろうとこのときはぼんやりと考えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます