第5話

「おはよー、望結、奈菜!」

「おはよ!桃。」

「も~も~?詳しく教えてもらおうかなー?」


朝の眠気がまだ尾を引く脳に望結が容赦なく手を突っ込んできたから強制的に目覚めされられる。


「笹木とはどんな関係なの?なんでわざわざ虹を見せたの?笹木のこと好きなの?」

「質問多いな!」

「望結ー、そーゆーのはそっとしといた方がいいよ。」


奈菜は優しくて気がきいて、ふわふわしてて可愛くて。

恋バナがちょっと苦手。


「奈菜?聞ける時に聞いておくんだよ!さぁ、どうなの?どうなの?」


望結ははっきりしていて正義感が強くて、ポニーテールが似合うきりっとした美人。

かなり恋バナが好き。


「笹木とはクラスメートでみんなと仲良し、以上!」

「えぇー!?なにそれ!つまんなーいっ!マジつまんない!!」

「桃がそう言ってるんだから仕方ないよ。」


奈菜が眼鏡をかけ直しながら望結をなだめる。


「ほら、先生来たし。」


席について左斜め前の笹木の背中を見つめながら昨日のことを思い出す。


笹木の手あったかかったな。

手を繋いでデートできたらいいのに。


屋上でお互いにセリフがかぶった時、

危うく告白しそうになった。


もしふられても夏休み中に想いを吹っ切って、勉強に没頭するつもりだったし。


でもあんなこと言われたらもう言えないし、期待しちゃうよ...。


海楽しみだな。

誰が来るんだろ。

やっぱり水着は買った方がいいよね。


中学の時のスクール水着しか持ってないし。


望結と奈菜も誘おうかなぁ。

笹木に聞いてみよう。


斜め前の笹木が身体をひねって私の目を見てちょっと笑った。


...ヤバい!

キュンとしちゃったじゃん!

ドキドキしながら数学の教科書を慌てて準備した。

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