第3話
リビングのソファーに座ってぼんやりとテレビを見てると
~♪
望結と奈菜からラインが届いた。
〈笹木に告られた!?〉
〈ちょwww望結直接すぎw〉
屋上で虹見ただけだよ。
〈え!?それって完璧あれじゃん!〉
〈桃のこと好きなんじゃない?〉
まさかー、考えすぎだってwww
〈なーんだ、つまんないの〉
〈明日詳しく教えてね!〉
別になにもないってwww
お風呂入るからまた明日ねー。
〈ほーい〉
〈早いけどおやすみー〉
望結の勘違いに苦笑してスマホを閉じる。
「はぁー...」
「桃香ちゃん、疲れてるの?」
「ううん、平気。海沙さんこそ疲れてない?お腹重そうだし。」
「そうね、ちょっと疲れちゃったかな。」
そう言って麦茶をテーブルに置きながらあたしの隣に座る。
「海香ちゃーん、元気ですかー?」
海沙さんのお腹を撫でながら耳を当てた。
《ポコポコッ》
「!?海沙さん!今動いた!」
「ええ、元気みたいね。」
「楽しみだなー、赤ちゃん♪お父さんに似てほしくないなぁ。」
くすっと海沙さんが笑う。
海沙さんのお腹にはもうすぐ生まれてくる赤ちゃんがいる。
性別をこないだ聞いてきたらしく、女の子だとわかった。
そしたら海沙さんが、
「桃香(とうか)ちゃんと私の漢字をとって海香(みか)にしましょう!」
すごく嬉しかった。
赤ちゃんが生まれてきたら、ほんとの家族になれるかもしれないって思ってる。
海沙さんはお父さんと再婚したあたしの新しいお母さんなの。
「桃香ちゃん、そういえばもうすぐ夏休みね。ひとりで大丈夫?」
「うん、二人が留守の間はあたしがばっちりやっておくから!もう18だもん。」
夏休みに入ると海沙さんは里帰り出産をしに実家へ帰るんだ。
お父さんは高齢出産だからって心配しすぎてついてくことに、
「お父さんに邪魔されずに勉強できるし。」
「ふふっ、可哀想よ。」
ソファーから立ち上がって海沙さんにおやすみを言ってから出る。
右手のスマホを握りしめ、笹木へのメールを打ち始める。
力強い手。
笹木の温もり。
あたしだけに見せてくれた虹...。
ドキドキしながら何度も確認して、送信した。
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