宮本と笹木(仮)

紫水蜜未

第1話


放課後の友達の会話にさりげなく混ざるのが好きだ。

「あー!終わったー!どこ行く?」

「あたしアイス食いたーい。」

「あ、じゃあコンビニ行こうよ。」


スクバを肩にかけて3人で教室を出る。

正面玄関まで他愛もない話しをしながら廊下を歩く。


階段を降りようとしたとこで、

「宮本」

心臓が一際跳ねる。

「ん?どうしたー?笹木。」

あたしの代わりに隣の望結が答えた。

「ワリィ、ちょっと宮本借りるわ。」

そう言ってあたしの手首を掴んで階段を昇り始めた。


えっ?ええっ?

ぷちパニック状態のあたしに後ろから望結と奈菜が、

「笹木ー!桃に変なことすんなよー!」

笑いながら叫ぶ。


きっとあたしの顔は絶対真っ赤になってる。

笹木の力強い手から伝わってくる体温に、

心臓が痛いくらい内側からあたしの胸を突いてくる。


どこまで行くの?

なんであたしなの?

聞きたいことあるのに

声が出ない。

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