八丈島殺人事件
鷹山トシキ
第1話
東京都の本州島側地域の南方海上287キロメートル、御蔵島の南南東方約75キロメートルにあり、東山(別名:三原山・標高701メートル)と西山(別名:八丈富士・標高854メートル)のふたつの火山が接合した北西-南東14キロメートル、北東-南西7.5キロメートルのひょうたん型をした島。面積は山手線の内側とほぼ同じ(面積の比較)。羽田空港から飛行機で片道55分で行けることと、沖縄と比べても安価な旅費で済むため、手軽なリゾート地として親しまれている。
明保野一郎という殺し屋がいた。彼は鵜殿永吉と恩田勝三に頼まれて、マフィアの縄張りを奪おうとして殺害された荒くれ吉良一味の8人の生首を殺害の証拠として、マフィアのボスに翌日の昼までに届ける仕事を請け負う事になった。早速、一郎は8人の生首をダッフルバッグに詰めて民間機に乗り込むが、着陸先の八丈島空港で荷物を取り違えた事に気が付く。奇遇にもそのバッグは、航空機内で隣の席に座っていた男、九鬼桂馬のバッグであった。一郎は九鬼のありかを探し出そうと、九鬼の友人である小早川紗枝と清水純生の元へ向かう。
その頃、九鬼は恋人の聖子と彼女の両親に会うため八丈島へ向かっていた。
真っ先にバッグの中身に気づいたのは聖子の母、園子。彼女は精神的混乱に陥ってしまう。それから間もなく九鬼と聖子も生首を発見し、二人は頭を登龍峠に埋めようとする。レンタカーを借りて山道を昇っていく。名称の由来は、この道を下から見ると龍が天に登るかのように見えることからという。
八丈島の南東部に位置し、東白雲山の北北東にあたる。東京都道215号八丈循環線が通過しており、前後は曲がりくねった坂道となっている。
頂上には展望台が設けられており、八丈富士、神止山、八丈小島、底土港(神湊港)、三根市街が一望できる。晴天時には三宅島、御蔵島まで見渡せる。その優れた眺望から「登龍峠の展望」として新東京百景のひとつに選定されている。
「この仕事を終えたら結婚しような?」
九鬼がビートルズの『HELP!』に合わせて体を動かしてる。
「うん」
聖子は助手席で不安そうに黒い空を眺めていた。
サイドミラーを聖子は見た。品川ナンバーの黒い車を借りた。八丈島は品川ナンバーだ。
「島の人かも知れない」と、九鬼。
そのとき、黒い車の助手席側のパワーウィンドウがゆっくり開いた。
アサルトライフルの銃口がレンタカーを狙っていた。刺客は小早川紗枝だった。運転してるのは清水だ。2人は明保野一郎に依頼され、九鬼と聖子を始末したら5000万を貰える段取りになっていた。
清水たちは自動車部品工場に派遣されているが、死にたくなるくらい薄給だった。休憩になる前のチャイムは松田聖子のあの名曲だ。トルクレンチを1日中握ってると腱鞘炎になる。夜勤の時なんて体がメチャクチャダルい。
バララララララッ!!
銃声が響いた。前から撃ったらエンジン部分を狙えるから爆破させられるのにと清水は思った。
小早川紗枝はレンタカーのタイヤを狙った。パンクしてレンタカーは横転した。
小早川紗枝は降りて確認しに行った。2人とも屍になっていた。
清水、小早川紗枝、九鬼は中学時代、水泳部で夜遅くまで練習した。九鬼は小早川紗枝が好きだったが、清水に先を越されてしまった。
「もう、あの青春は戻ってこないな」
清水はさめざめと涙を流した。
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