31話 こうすればもっと強くなれるよね？ハ〇太郎？へけっ！
「それはずばり！」
「ずばり〜〜〜？」
「継続戦闘能力……つまりスタミナだ！」
「スタミナって走り込みでもするのか？」
玲にしてはまともな質問をしてくる。
「良い〜質問ですね」
特に意味は無いが褒めておく。その質問は想定内だ。
「スタミナと言ってもどちらかと言うと戦い方による部分が大きいんじゃないかと俺は思ってる」
これに気づけたのは俺がほとんど戦いに参加せず、"視る"事に集中していたお陰だろう。
「もう少し詳しく聞いても良いかしら？」
「そうだな……蘭子の場合はあんなに大量の邪鬼と戦ったのは初めてじゃないか？」
「そうよ。良くわかるわね」
「基本的には接近戦しかして無かったからな。広範囲を殲滅する方法があればもっと楽に戦えたんじゃないか？」
「確かに。今まで必要が無かったしあの戦い方が私に合ってると思っていたから……」
フォームは凄く綺麗だったし、合ってるのは間違い無いだろう。だけど余りにも一対一に特化し過ぎている気がする。消耗戦になると蘭子がかなり不利だろう。
「あと戦ってる時に拳に常に力を集中してないか？」
「見えるの？」
「いや、見てて思っただけなんだが当たりか」
「これが一番効率が良いのよ」
「それをもし、邪鬼に触れる瞬間だけにしたらどうだ？」
「……やったことは無いけどかなり力を温存出来るわね」
「とまぁ、これが蘭子の改善出来そうな戦い方だ。基本的な体力とか能力の上限を伸ばそうとすれば時間がいくら有っても足りないけど、
「試して見る価値はあるかもしれないわ」
「だろ？」
あの時の経験がこうして生きる事になるとは……戦闘力皆無だった頃の俺グッジョブ！。
「それで神威、桜夜ちゃんにもアドバイスあるんだろ？」
「あぁそうだった。桜夜の場合はあれだ……」
「あれぇ〜？」
桜夜は小動物を思わせる雰囲気で首を傾げている。
「一撃必殺過ぎ！ 戦いにロマンを求めすぎ！」
「えぇ〜！？ 一撃必殺は男のロマン？ なんでしょ？ お兄ちゃんが言ったんだよ？」
「言ったけど！ ……言ったけど。まぁそれは俺の教育が悪かった。だってさぁ〜妹があんなファンタジーしてると思わなくない？ しかもこんな抜けてる妹がだよ？ 俺に隠し事なんで出来るわけないじゃんねぇ？ それが何だよ！ お兄ちゃんに隠れてあんな……あんな楽しそ───」
「お、おいそれくらいにしとけよ……」
玲が止めに入った声で気づく。いつの間にか本音をぶちまけていたらしい……
蘭子が見てられないとばかりに目を覆っている。
「お兄ちゃんの気持ちは分かったけど〜結局どうすればいいの？」
こういう時は桜夜の無邪気さがありがたい。今まで
「ゲフン……本題に戻すとだな、桜夜の必殺技はかなりの威力があったしあれがなきゃ負けてたかも知れないぐらいはナイスな活躍だった」
「でしょでしょ！？」
桜夜は尻尾が見えそうなキラキラした目でコッチを見てくる。
「だけど問題は打った後だ。ほとんど力を使い果たしてただろ？」
「うん……」
「もしも敵が戦力を隠してた場合はそれで詰んでた。つまりあの状況は運が良かったってだけなんだよ」
「そっか……」
桜夜は先程の様子からは想像できないくらい落ち込んでいる。
「でも今回は玲君も居るし、
蘭子はそんな様子を見兼ねてか、フォローを入れてくれた。でも現実はそんなに甘くはない。
「俺が敵の立場ならあの技を一度見せてる以上は打たせる前提で動く。戦力は一度に全て出し切る事は無いと思う」
「俺も神威の言う通りだと思うぜ〜」
玲もどうやら同じ意見らしい。
「前の戦いと比べて、更に俺っていう未知数な戦力がいるんだぜ？ 初っ端から全力で来るって事はまずないだろーな☆」
俺もそう思う。だからこそ俺が本来やりたい事もやりやすい訳だけど……。
「返す言葉もないわね……」
「
「てわけでさ、桜夜には必殺技の出力を調整出来るようになって欲しいんだ」
「うん。わかった……」
「で、さっきの話を踏まえて俺のイルについて思ったことを玲にも聞いて欲しいんだが……」
(まだこの話続くんじゃよ……)
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