29話 やはりアホ野君ね……


 神威、蘭子、桜夜、れい(神田)の四人がビーチバレーを楽しんだ後の出来事―――


「そう言えば神田なら俺の神の子の力が封印されてる事もそれを解く方法もわかるんじゃないか?諜報部所属なんだろ?」

「それもそうね。あ、それとアホ野だと毎回ツッコミが飛んできて面倒だし、玲君でいいかしら? 玲君なら今知らなくても調べる事くらいはできるんじゃない?」


「まぁ名前については好きに呼んでくれよ……」

「あ、じゃあ俺も玲って呼ぶわ」

「むしろ今まで俺の名前知らなかった事がショックだぜ☆ 俺達、親友だろ?」


「いや、親友になったつもりはないが……」

「そんな事言うなよ~なんだっけ? 『友達は要らない。人間強度が下がるから』――だっけ?」

「それを言った張本人は思い直したらしいし、俺は言ってない」

(言いたいセリフだと思っていた事はここでは伏せておく)


「そうだっけ? ま、親友にはその内なるとして! 封印の事だけどその事については何となくは聞いてるけど詳しくは知らないぜ?」

「なんでだよ!?」


「そーだよ! ここは~『かんちゃんは何でも知ってるね―――』」

 桜夜も続けざまにそう言うと、神威が続けて

「『何でもは知らないわ。知ってる事だけ』って言う流れだろ!!」


「いやさ、そりゃあ知ってたら教えてやりたいのは山々谷ゝ海〃やまやまたにたにうみうみだけどよぉ」

 玲はふざけているのか素なのか分からないが聞いたことがあるような無いような内容の無い事を口走っている。

「山々だけでいいんだよ山々だけで……俺のアイデンティティが消滅するだろうが」


「ま、それは置いといてだな。俺って割と前線出るタイプの諜報部員じゃん?」

「そうね。玲君ぐらい動ける人材を情報収集だけに専念させるのはもったいないものね」

「てことで万が一の事を考えて機密情報なんかの詳細は教えてくんないってわけ☆」

 前線に出るとは言っても、あれだけの実力があるんだからきっと情報の扱いに関しては別の理由があるんだろうな......と思いながら玲を見る。


「なんだよその顔は……仕方ないだろ? 教えてくんないだからさ~」

「そういう事にしといてやるよ」

 桜夜も後に続いて

「そ~いう事にしとぃてやるよぉ~!」


「だーーー! 何かこの兄妹に馬鹿にされてる気がするううううぅぅぅ~!」

 玲は頭を抱えてフリフリしている。これ程この格好が似合う男もそうは居るまい。


「気がする、じゃなくて馬鹿にされてるのよ玲君。現実から目を逸らさないで」

 蘭子は追い打ちを掛ける。時々見せる一面だが、蘭子はやっぱりS何だろうか?


 そんなこんなで、この様子だと玲の諜報部としての働きにはあまり期待は出来そうにないな……。後で聞くだけ聞いてみてくれと頼むつもりだけどこの感じだと何も教えてはくれないだろうな……。

 玲が協力者としてチームに加わった事で戦力が大きく強化されたのは良かったけど、イルとの決戦の日がいつになるか分からない。出来るだけの準備はしておかないとな。




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