23話 え?お前がそうなの?

「結局邪鬼が居ないと特訓出来ない問題は解決してないわね」

「諜報部ってとこにまた頼れないのか?」

「あっじゃあ連絡してみるね~」

「できるのかよ!?」


 桜夜さくやが荷物からスマホを取り出し電話をかける。すると同じタイミングで風に流され、音楽が聞こえてくる。


 そちらを見ると―――


神田かんだ!?アホの神田じゃねぇか!」


 神宮寺神威じんぐうじしんい愚民クラスメイトと呼ぶ一人、割と目立つ金髪で神威とはまた違った存在感のある神田が自販機の前に立っていた。


「あっやべ……」

 桜夜さくやちゃんに教えてた方のスマホ、設定ミスってた……


「あっ! かんちゃん! 来てたんだ~」

「あっハハハ......」

 神田は桜夜に向かって手を振っている。


「聞きたいことがありすぎて追いつかないぞ……何でアホ野がここにいるんだ?」

「"アホの”が苗字で"神田”が名前じゃねぇから! 俺にはれいって名前が……」


「自己紹介ありがとう、アホ野君。それでまずはここにいる理由を教えてもらえるかしら?」

神楽寺じんらくじさんまで!?」

「話が進まないわね」


蘭子らんこのせいだろ?」

「元はと言えば神威くんのせいでしょ!?」

「あぁ夫婦喧嘩はその辺にしてもらって……」


「ふっ……夫婦っ……」

 蘭子は顔を赤くして言い淀む。

「違うわぁ!!!」


「本当に仲いいよね~。それで、何でここにいるの~?」

「ここに来た理由は監視と何かあった時の保険なんだけど……その心配が無さそうで気ぃ抜いてたらバレちった☆」


「やっぱりアホ野君でいいのかしら?」

「神楽寺さんって以外とSなんすね……」

「そうなんだよ!」


「誰にでもこうな訳ないでしょ? なんだかれい君には神威くんと似た雰囲気があるのよね」

「神田に似てるって言われるのは心外だけどな」

「しかもわかっててやってるし……」


「それで、これから監視はどうするのかしら?」

「バレちまった以上は一緒に行動する方がやりやすいかな~」

「そもそもお前が諜報部って事が疑わしいんだけどな」


「かんちゃんが諜報部なのは本当だよ? 相談があったら気軽に連絡してねって番号教えてもらってたんだ~」

「そういうこと! 邪鬼の場所を知りたいンでしょ? 俺に任せてくださいよ!」

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