番外編5話 遂に水着回ですか???

 修行をはじめて1週間ほどが経った。


 俺は相変わらず國井さんにボコボコにされているし、邪鬼の力についてはコントロールのコの字も掴めて無い……。


「ねぇ神威くん。提案があるのだけれど」

 蘭子は後ろで手を組みながら言った。


「なんだよ唐突に?」

「そろそろ息抜きをした方がいいと思うのよ」

「遊んでる余裕なんてないだろ?」


「でも……その……」

 蘭子の顔がなんだか少し赤い気が……。


「でも?」

「せっかく友達と海に来たのだし! 遊びたいじゃない!」

 組んでいた手をほどき、駄々っ子のように振り下ろしながら言う。


「……ブッハハハっそんな必死にならなくても(笑)」

 ギャップに思わず吹き出してしまった。

「何よ、そんなにバカにしなくてもいいじゃない……」

 薄っすらと目に涙を浮かべていた。


「あー悪い、バカにしたわけじゃ……友達って思っててくれたとは光栄だなって」

 普段のイメージとは違う所が見えて少し可愛いなと思いつつ答える。

「友達だと思ってくれてなかったの!?」


「いや、何て言うか色々あったし、意外だったから」

「そう……意外……なのね……」

「蘭子くらいお嬢様感全開だと興味は合っても友達って距離感にはなりにくいだろ?」


「私は普通にしているつもりなのだけれどね……」

「俺と話す時だけキャラ違わないか?」

「なんでかしら?……神威くん相手だと話しやすいのよね」


「まー取り敢えず桜夜さくやにも声かけて海行こうぜ」

「そうね!」

 これぐらい素直ならすぐに友達出来そうなもんだけどな。俺とは違って。




「え? いくいく! 遊びたい!」

 桜夜に声をかけると当然ながら乗り気だった。ま、俺もイルや邪鬼の事がなかったら遊ぼうって言ってただろうけどな。


桜夜さくちゃんも水着持ってきてるわよね?」

「もっちろーん!」

 水着……だと……!?


「神威くんも下に来てすぐ脱げるようにしてね。國井さんに送ってもらいましょう」

「そういえば修行は……」

「根を詰めすぎても良くないって賛成してくれたわよ」


「お前ってそういうとこあるよな……」

「じゃあ決まりだね!」


「―――何か文句でもある?」

 蘭子はどこかのツンデレキャラが言いそうな感じでそう言った。ツンってより、これはもはやデレだろ……。

ここは乗っといてやるか……。


「文句など無い……。海が我をよんでいるからな!」

「そうならそうと早くいいなさいよ……」

 あれ~? 突っ込んでくれていいんだぞ~~~?




「わー! 海だぁ~~~!」

 前に来た時は邪鬼のせいで遊べなかったし、桜夜の反応も当然か。


「それじゃあ荷物置いたしそろそろ水着に着替えるか……」

 と言っても、既に俺達は上に羽織ってるだけだからそう言ってる間にもう水着だ。


「おー桜夜も水着似合ってるな!」

 いつの間に脱いでいたのか、桜夜は髪色に合わせてピンク色のビキニだ。腰の部分に紐で飾りがついている。マジで黙ってればモデルやアイドルなんて目じゃないくらい可愛いと思う。


「ありがと~これ着るの楽しみにしてたんだ~!」

「あれ蘭子は脱がないのか?」

「神威くんはあっちを向いててもらえるかしら」

 蘭子は顔を赤くして言う。まさか熱でもあるのか?無理を押して遊びに突き合わせるわけにはいかないよな?


「え? なんでだ?熱でもあるなら一旦戻っ......」

「いいからあっち向いてなさい!」

 心配した俺は理不尽に蘭子に吹っ飛ばされた。しかしこの一週間、ただでボコボコにされていたわけではない。俺は蘭子の動きは分からなくとも吹っ飛ばされる感覚は”身体からだ”が覚えている

  

華麗に受け身をとった俺が前を向くと―――

 そこには俺を吹っ飛ばす時にタオルが落ち、太陽の光を浴びた銀髪がよく映える、黒のビキニを着た蘭子が立っていた。


「俺をなめてもらっては困る……」

 簡単に吹っ飛ばされた事は気にせずにカッコつける。


「あ……」

 蘭子は水着を晒している事に気づいたらしい。

「おぉ……可愛いな......」

 素直な感想が口からこぼれる。


蘭子らんちゃんかわいい~!」

「うっうううう~」

 蘭子はその場にうずくまってしまった。 


「大丈夫だよ! 自信もって!」

「だってこ、心の準備が……」

「見えちゃったものは仕方ないだろ……あと、普通に似合ってると思うぞ?」

 最低限フォローはしたが、ビキニ姿になった蘭子はいつもより胸元が強調されている。着痩せするタイプって言っても流石に思春期男子には刺激が強すぎる気がしてきた。


「時間もったいないよ~早く遊ぼ~?」

「そ、そうね……せっかく海に来たわけだし」


「じゃさっそく遊ぶか!」

「おーーー!」

 

「お……お~」

 蘭子も恥ずかしがりながらも乗ってくれた。

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