18話 なんかカッコ良くねぇ?


  神威しんい達の知らない所でこんな会話が行われていた。

 

「定時連絡ね。なにか変わった様子はあるかしら?」

 落ち着いた声をした女性が電話越しに問う。

 話し相手は黒を基調としたしのびの様な装束を身につけている少年だ。

 

「いえ、今んとこはなんも。暴走するような事は無さそうです」

「では引き続き監視をお願いね。彼は私達にとって大きな武器になるかも知れないわ」

「りょーかいっ☆」

 

 

 

 ♢

 というわけで一晩明けた。


「ケガの具合は大丈夫そう?」

 蘭子らんこは昨日の態度から打って変わって優しく労わる言葉をかけてくる。


「休みたいよ……けどいつ戦いになってもおかしくないからな」

 まだ体の痛みが完全には引いていないが、時間を無駄にするわけにはいかない。

「応援してるよ! お兄ちゃん!」

 

 俺は長男だから我慢できた云々……今ならわかる気がするよ。


「あぁ頑張る」

「まずは邪鬼がいる場所に移動しましょうか」

「そういやどうやって邪鬼の場所見つけてるんだ?」

「今日は桜夜さくちゃんに言って諜報部ちょうほうぶの力を借りたわ」

 

「何だよそれ……ワクワクするじゃねぇか」

「私も詳しくは無いんだけど〜邪鬼の情報とか色々集めてるっぽいよ〜」

「て事は俺の事も調べたりしてんのかな〜」

 

 もしかしたら蘭子らんこが転校してきた時の情報源も元々はその諜報部だったりしてな。

 

「まぁ、邪鬼をあれだけ吸ってなお、意識があった訳だし大丈夫じゃないかしら?」

「そうそう! きっと大丈夫ー!」

 さては二人とも自分の事じゃないと思って適当言ってるな〜?

 思わず顔をしかめてしまう。

 

「心配しててもしたないんだから早く行きましょ」

「はぁ……考えてても仕方ない……行くか〜」

 不安の種が一つ増えたような気がするが、今の段階だと杞憂と言わざるを得ない。

 大事なのは自分の能力ちからをコントロールすることだ。

 そう考える事にし、俺達は邪鬼のいる場所へ移動する。

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