5話 水着回じゃないのかよ!?
ホテルのチェックインを済ませた後、早速海岸へ来た。
「でも呑気に海水浴してていいのか?」
妹が隣にいる状況では邪鬼のことなど話せない。当たり前だがそんな危険に付き合わせる道理はない。
「何を言ってるのかしら?泳ぐのは後でよ」
蘭子はこちらを見てそう答える。
「後でって?何するんだ?」
BBQ《バーベキュー》でもするのか?なんて思っていると以外な返答がくる。
「決まってるじゃない。邪鬼た・い・じ♡」
蘭子はキャラに似合わぬテンションでそう言った。
それに対する俺と
「マジか!?」「ええっ!」
桜夜がいるからと敢えて口にしていなかった邪鬼退治。何をするのか聞いたとはいえ、それをこのタイミングで言うとは……。
「桜夜の前で邪鬼のこと話して大丈夫なのかよ?」
蘭子の耳元で囁く。
「えぇだって……」
蘭子の言葉が言い終える前に黒い影が横切る。
「邪鬼!?」
俺は動揺を隠せない。ここには蘭子がいるが、妹は普通の人間。もし憑りつかれてしまえば……。
嫌な想像が頭をよぎる。その間にも邪鬼の魔手がこちらへ迫ってくる。
「お兄ちゃんは下がってて!」
桜夜がそう言って前に出る。
「おい!桜夜!」
慌てて名を呼びつつ庇おうとするが邪鬼のほうが明らかに速い。
間に合わなっ……。
「今度は私が守る番だから!」
桜夜は空宙から身長とほぼ同じ大きさはあろうかという巨大な鎌を取り出す。と同時にいつもは綺麗な桜色の髪が鮮やかな赤に染まる。
鎌を落とすかと思うほど持ち手のギリギリを持ち、横一線に構える。そこからは一瞬だった。目の前が燃え上がる炎に包まれたかと思うほど燃え盛る。鎌を右から左に持ち替え……いや、振り切ったのだろう。先ほど目の前に現れた邪鬼は跡形もなく消滅していた。
「桜……夜?」
目の前の光景が信じられず、上手く声が出ない。
「あ〜……バレちゃった。えへっ」
テヘペロって言葉が似合う顔で桜夜は振り向いてこちらを見ている。
「ばれちゃったって……ん?てことは待てよ……」
~回想中~
「不甲斐ないな、我が
「なんでお兄ちゃんは汗かいてないの!!セコイよ!!!」
「カラダの作りが違うからな」
本当に違うのだから仕方ないといえば仕方ないんだが
~回想終了~
……え?そんなことある?
本当に
「でかい鎌振り回してるし髪の色違うしで……本当に桜夜なんだよな?」
「あっでも……神の子の力を使ってる時は凄い力が出せるんだけど。いつもは普通の高校生だよ?」
あぁ、だからいつもは俺のほうが足速いのか。
ニコニコしながら答える桜夜はいつも
「あれ?てことは汗っかきなのは?」
「元からだと思うけど。もしかしたら神の子の力の影響もあるのかなぁ?」
「代謝がよくなったりとかか?」
「うーんどうだろ~。髪の色がピンクになったのはこの力のせいみたいだけど」
「そうなのか……」
「お兄ちゃんは色々と忘れてるみたいだから......」
「何を......」
忘れてるのかと言い終える前に蘭子に遮られる。
「聞きたいことは色々あると思うけれど!そうのんびりしてる時間はないわよ!」
「そうみたいだな!」
桜夜から明かされた衝撃の事実に気を取られていたが、邪鬼は一体だけではなかった。
いつの間にか取り囲まれている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます