第14話 臆病だから

 彼が何も答えられずにいるのを確認する。

「ねえ、一個だけ言わせてほしいんだけどさ、あのね、私も、似たような経験があるんだ。だからアドバイス、ていうか、まあ、私の場合、解決できてないから、反面教師みたいな。それで、今さ、その好きだったら仕方ないとか、自分には関係ないとか、頑張って、言い訳してると思うんだけど、でも、それね、恐怖心って言うんだよ。怖いんだよ、今まで隣にいた人がいなくなるのが、これ以上関係が崩れるのが、関係が崩れたことを思い知ってしまうのが、嫌われるのが、怖いんだよ。ただ、それだけ。だから、君のそれは、愛とか恋とか、そう言うものじゃないよ。」

そう、これは恋心じゃない。だた、ずっと、そばにいたいだけ。

「うん、君は臆病なだけ、でも、それでも」

それでも、君にとって彼女は特別だったから、だから、私も臆病になったんだよ。

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