花曇り
うっすらと敷きつめられた
白い雲が
空いちめんを覆っている
窓ガラス越し
遠くに薄紅色の
あれは、桜
晴れの日に間近でみる桜も
それはそれは美しいけれど
こんな花曇りの日に
景色のなかに
永遠にこない誰かを
待っているように
薄紅色の小さな花たちは
身を寄せ合いながら
そっと咲いては
ほろほろと散っていく
秘めたる想いを
知られぬままに
花曇りの空の下
ほろほろ、ほろほろ
涙のように散っていく
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