懐かしいひとたちへの手紙

こんなふうに夢で会うのは本当に久しぶりね。


お父さん、革小物の職人修行をして、いよいよ認められて独り立ちするんだと笑顔で話していて。

生前には縁もゆかりも無いことだったけど、そちらでは趣味も増えたのね。


お母さんが留守にしていたのは寂しかったけど……。

でも、好奇心の塊のお母さんらしく、あちらにこちらへと楽しく飛び回っている姿が目に浮かんだよ。


ヒサおばちゃん、娘同様に可愛がってくれたものね。

名前を呼んでくれる声と笑顔が、昔のままだった。



あの懐かしい夕焼け空のような世界は、ただの夢というには愛おしすぎて……。


目覚めたあとも夢と現実の狭間で、わたしぽんやりしてたよ。


ねぇ、わたしもその時がきたら、みんなのいる世界で暮らせたらいいな。


そんなことを思って目頭が熱くなる。


それまではこうして、たまにでもいいから、夢の便りをください。

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