小さなアパート

その小さなアパートは

道を挟んだ向かいに

小さな教会があって

まるで、それすらも

祝福の印のように思えたのを

覚えている


二人の暮らしを始めた

あのアパートは

まだ其処にあるのだろうか

階段をあがった二階の部屋

ままごとのような生活

けれど幸福しあわせの想い出


年月は時に残酷で

思いもよらない試練を

人に与えもするけれど

懐かしい優しい日々の記憶だけは

運命さえも奪えばしない

そうでしょう?あなた


息子と暮らす家で

写真立ての中のひとに

微笑んで話しかける

ひとりきりの結婚記念日も

もう22回目

はやいものね



ねぇ

あの小さなアパートは

確かに愛の棲家すみかだった


わたしたち二人の

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