【詩集】月とヒッカキキズ

つきの

月とヒッカキキズ

ねぇ、お月さま

よく見ると

お顔にあるヒッカキキズ

いつの間にそんなふうに

少しずつ満ちて欠けてを繰り返し

仄かな明かりだから

気がつかなかったけれど


ああ、これは

人間ひとの心の傷痕を

写しとったのです

痛みにいくらかでも寄り添いたくて

無力なわたし

せめてできること


そういってお月さまは

その傷を、そっと撫でながら

柔らかく微笑みました



秋の夜のお話です


すぐ横を通り過ぎていった

小さな流れ星に聞きました

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