異世界復讐記【3つの世界を同時に救え!】

古部伍堂

壱ノ章【終わり始め】

第1話 憎むべき相手

 俺の名前はかえで。高校一年の15才だ。あまり勉強とか人と話すのとか得意な方ではなかったために、わりと寂しい人生を送っていた。


 夕食に入浴、歯磨きとかを終えて、あとは寝るだけという時間にそれは起こった。俺の家から東に百数十メートルといったところから、雷が何十発も落ちたような爆音が鳴り響く。同時にその場所が赤々と燃え上がった。その数秒後、再びコーンという鐘のような音がしたあと、俺の家と周辺半径約30メートルほどが爆発した。


 「いったい……なにがおこって………?」


 訳がわからないままいると、上空から人が降りてきた。その人物は紫色の髪でその頭には猫のようなネズミのような耳を持っている。服は赤みがかった黒色で長い尻尾もあった。


 「なんだ?おまえ。こんなんになっても生きてんだ。しぶといやつだなぁ。」


 その男は人をバカにするような言い方でそう口にした。男から目をそらして右の方を見てみると、瓦礫に埋もれた人の腕のようなものがあった。その指には見慣れた指輪がされている。(母さん……?)

 刹那、俺の中にあった心を支えるようなものがガラガラと音をたてて崩れていくような気がした。そして、その男に憎悪の視線を送り睨む。


 「おまえは、いったい何者だ?!!」


 知りたい。俺の平和な日常を奪ったこの悪魔が何者かを。そして、こいつにも同じ目に遭わせてやりたい。


 「フヒャハハハハ!!いいぜ。そんなんになってもまだ知りたいならな!……俺はあらゆる異世界、全てのパラレルワールドを消滅させるのだ!!」


 その言葉を最後に聞いて、俺の意識は無くなった。


 顔は覚えたぞ。覚えてろよ、紫髪の猫獣人!いずれ、おまえを地獄に落としてやる!!!

 俺はそう固く決意した。

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