2 誘拐


「お願いっ。帰して・・・」







後ろで柱に手を縛られて痛いよ!





柱にくくりつけられて

地べたに座らされている。







あぁ、最悪だ。




泣きそうだ。







味方は0。





30人の敵が、あたしを見張っている。




逃げられない。






お尻が痺れてもう限界だ。






ボスらしき男に懇願した。




「お願い。あたしを解放して?」





精一杯の猫なで声を出す。









もう、日が沈んで暫く立つ。








工場跡の倉庫に誘拐されてきたのは、




学校から一人歩いて帰っている時だった。






   




もう三回目の誘拐だから




抵抗せず、大人しくしているのが最善だと分かっていた。








なんで秋人のことを待っていなかったんだろう・・・






ー校門前で待ってろー




秋人との約束を破ったのはあたしだ。








「秋人が、


 俺らの前に現れたら解放してやるよ。」




男が言った。










秋人は幼馴染みで、桜坂高校の番長。







全部、あたしのせいだ。涙目で秋人を想う。










「大事な彼女が捕まってたら、




大人しく殴られてくれるだろうよぉ!!」







誘拐したのは、


桜坂高校と敵対する連山高校。





連山高校の番長は、秋人に恨みがあるみたい。







「秋人は来ないよ。」




だってあたしは、秋人の彼女じゃないから。




秋人に愛をもらえない、


秋人のオモチャなんです。


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