■コンビニ _朝食11/12/09:10■
「おまちど〜さん。
俺の独断と偏見で選んできたで…って!
朝からイチャイチャせんといてくれる!?」
ゴンさんが戻ってきた時まだ頭をヨシヨシされていた。物心ついてからこんな事をされるのは初めてだったが、こんなにも心地よかったとは…もしかして魔法?
あれ?そう言えば風呂に入ってないぞ。頭臭くなければ良いけど…。小説や漫画で女性キャラが『お風呂!お風呂!』と喜ぶ気持ちが今なら良く分かるな。
「イチャイチャはしていない、それよりまた堕天してきた?」
少し気に
「か、関西弁は俺のアイデンティティやから。さっきは驚いて標準語になってしもたけど関係ないから」
ササッとゴンさんは俺の席に『赤おにぎり』を差し出し、ヤタには『サンドウィッチ』を配る。飲み物はホットの『紅茶』と『緑茶』だった。そしてゴンさんはというと。
「ゴン、そんなの食べてるの?」
「そんなのて…」
「それって美味しいんですか?いつも食べてません?」
「毎食これやで。これひとつで1日のエネルギーとか栄誉の半分取れるんやで?1日2つ食べたらエエだけやし、日持ちもするし完璧やん?」
「それが堕天の原因」
「え、嘘やん!?」
ゴンさんはショックからかそれを手から落とすと『ガンッ』という鈍い音がする。
「うわ、食べ物の音じゃないですよそれ。そんなに硬い物だったんですね」
それは完全栄養食の『ピラー』という三角形をしたクッキーだ。サイズは薄いレンガ程ある。
「そうやで、これをバリバリ言わしながら食べるのが好きやねん」
そう言うとゴンさん『バリバリ』とクッキーを噛み砕いている。どんな頑丈な歯をしてるんだ。
「堕天に気をつける事」
「ま、まぁとりあえず俺のおごりやから、朝飯済まそ。…気をつける、気をつけますから!」
ヤタの視線を察してか語尾が強くなっていくゴンさん。こんなヘラヘラしてる人でも相性というのがあるんだな。
「ありがとうございます、頂きます」
「…いただきます」
しかし、相変わらずなかなかのクセモノを…。
『赤おにぎり』
とにかく3倍の旨さらしい、
『サンドウィッチ』
魔女の三角帽をイメージしたパッケージのサンドイッチ。具材は魔女の好きなものらしいが、パンの色が黒というのがどうにも食欲を減退させる。パンの間からのぞく赤色は多分トマトのはず…。
□■□
話題性に事欠かない食事はあっという間に過ぎ、束の間の休息を取ることができた。
全員が食べ終え、再び情報共有を再開する際に1つ思い出した事があった。
「ゴンさん、そういえば『悪魔の笛』ってなんですか?」
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