■コンビニ_店内/11/12/03:50■

 いつもの静かなコンビニに戻ったのはレジ支援から2時間経過した頃だった。


「いや〜お疲れさん!ほんま助かったわ、一人でやってたら倍の時間かかってたんやから恐ろしいわ」


 ゴンさんは腰に手を当てて背中を反らし、バキバキいわせていた。肩凝りもりひどそうだ。


「店長、何だったんですかあれ。俺が帰ったらいつもこうなんですか?それにタバコはどうしたんです?うちってサバゲーショップでしたっけ」

 

「ハハハ!いつからそんな冗談言えるようになったんよ雨森」


 手をひらひらさせながら店長は笑っている。


「タバコは法律で禁止されてるやんか、そんなもん売ってたら捕まる捕まる。それにサバゲーは実弾でやらんやろ、死んでまうで、ハハハ!」


 ん?そうだったか?そうだったような?


「何でこんなに混雑したかは分からんけど、あれだけ売れたって事は近くで目撃情報でも出たんやないかな?」


 ゴンさんは眉をひそめて腕組をしながら答える。


「え、何のです?」

「アクマに決まってるやないの、ニュースはまだ見てないけど多分そうやで」


 え?聞き間違い…?冗談?


「え、熊ですか?猿とかは出るとは聞いてましたけど、熊もこの辺りに出るんですか?それにしては猟銃じゃないような」


 ゴンさんはアクビをしながら答える。


「いやいや。あくま、悪魔、デビルよ!」


 悪魔…。

 これはゴンさん得意のホラ話に違いない。

 これ以上家に帰るのが遅れても心配事が増えるだけだ、早々に話を切り上げないと。


「あ!すみません!俺そういえば携帯が急ぎで必要で取りに来たんですよ、すみませんがその話は明日にでも」

「ちょ、雨森〜」


 ゴンさんの声を振り切りロッカーの携帯を確保する。


「うわ、これは時間ヤバイ…」


 腹を括って一夜くらいぐっすり寝てもらっても良いのかも知れないが、時間が経過するほど俺にとって社会的に不利な気がするのだ。


「ゴンさん!すみません、急いで帰らないとヤバいんでまた!」


 俺はゴンさんに引き止められ無いように早口で告げ急いでコンビニを出る。


「あ!雨森!

 悪魔の笛を忘れてない?

 持ってるように見えんけど。

 ちょ、あまもり〜!!!」


 ゴンさんが何か後ろで叫んでいるけど、俺は急いで少女の元に帰る事しか頭になかった。



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