■アパート_キッチン/11/12/01:06■
俺は沸騰した鍋にレンジ加熱しておいた冷凍うどんを入れる。
次にコンビニで買っておいた『冷え切ったおでん』を取り出す。ロールキャベツ、ウインナー、大根をキッチンバサミで半分に切断し、鍋に投入。おでんつゆも残さず入れた。
熱を失ったおでんの具が蘇るまでしばらく待ち、冷凍庫で保存してある刻みネギを適量ふりかける。
食器は残念ながらそう幾つもない。うどん鉢とラーメン鉢に半分ずつ分けると、見た目はともかく味は保証できる『おでんうどん』の完成だ。
「まずかったら食べなくていいから、まずかったらポッキーでとりあえず許して」
一見ゲテモノの類に属する食べ物だろうからな。
俺はうどん鉢と割りばしを少女の前に置き、常備してあるペットボトルの水とポッキーも少女に差し出した。
「…頂きます」
少女は手を合わせて声を発した。
「お、お、オッケー」
何がオッケーなのだ。
まさかここに来て初めてしっかりと分かる言葉が出るとは思ってなかったので戸惑ってしまった。
そしてひと仕事終わった安心感もあり再び尿意に襲われる。
「熱いからゆっくり食べて」
そう言って俺は普段なら閉めないキッチンとの間の扉を閉めトイレへと急いだ。このくらい時間が経てば特に問題ないはずと信じて。
「あ、れ??」
トイレを開けると便座が上がっていた。
何故だ?
俺は掃除の観点から自宅では座ってやる派だ。
先に入ったのは少女なので、犯人はそうとしか考えられないのだが…え、まさか…しょ、少年?
混乱した俺はひとまず便座をおろし、最大の注意を払って深夜という悪条件の中で音をたてないように用を足す。
万が一少年だったとしても、たとえドアを2つ挟んでいたとしても、他人が同じ部屋にいる状況でのトイレはかなりのストレスだった。
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