死神と悪魔

俺の名は青木武。

青木岳の身体を奪いやっと自由を手に入れた悪魔だ。

身体を手に入れる事に成功した俺は夢を実現する為に第一歩を歩みだした。


いったい何の夢かって?

それはこの世のお金を自由に操りだ。

身体を手に入れた今の俺ならば何でも出来ると確信している。

俺は前世で『時間』と『お金』を渇望しながら死を迎えた。


悪魔となって蘇った俺はそのどちらも手にする事が可能になったのだ。

なぜなら俺の両肩には『死神の翼』と呼ばれる細いナイロン糸みたいな宝毛がある。

これを抜くと俺の周りの誰かが死を迎える。

そう俺は死神の翼を使い他人の時間(寿命)を奪う事が出来る。

俺は死神と契約する事で他人の時間をもっと細く奪う事が可能になる筈だ。

これから俺の世界を創る夢を叶える為に俺は死神と契約を結ぶ事にした。


「さぁ、俺の世界を創る為に下僕を集めないとな。」


俺は街をブラブラ歩きながらこれからの事について思案をめぐらせる。


「岳、こんなところでブラブラしているなら買い物手伝ってよ。」

不意に後ろから声をかけられ振り向くとソコには幼馴染の臼井亜香里が居た。


俺は岳というヤツから身体を奪った。

だがその契約にはという条件が付けられている。

亜香里と一緒に居る事は俺にとって好ましい事ではない。

つまり、『亜香里に付き纏われるのは迷惑だ』という事だ。


「誰かと思ったら亜香里か? 俺は岳じゃない、武だと言った筈だ! 俺にかかわると亜香里も親父さんみたいに死を迎える事になるぞ! 」

亜香里は少し脅しておけば直ぐに俺から離れて行くだろう。

万が一、纏わりつかれて契約違反で身体を返す事になったりしたら最悪だ。

亜香里には極力近づきたくなかった。


「武様、お待ちしておりました。さぁ行きましょう。」


俺と亜香里の間に割って入る様に一人の女性が突然現れた。

「アナタはいったい誰? 」

俺はその華奢な女性に手を掴まれ、亜香里から離された。


「私はミカエルと申します。大天使ミカエルの生まれかわりです。アナタ様が復活されるのを心待ちにしておりました。今日からアナタ様の執事として仕えますのでよろしくお願いします。」


俺はある事を思い出してギョとした。

「ミカエルって確か男性だったよな? まさかアナタは・・・ 俺、そんな趣味ないから! 」


ミカエルはふふっと微笑えむ様に俺を見る。

「武様、心配しなくて大丈夫ですよ。私は女性として生まれかわりましたので・・・ 24時間必要な時はいつでもお呼びください。必要とあらば夜のオツトメもご一緒いたします。」


『悪魔って夜でも何か仕事があるのか?』

俺がそんな事を思っていたら・・・

なぜか亜香里が顔をあかくしていた。


亜香里がミカエルへ何か言いたげだったが・・・

「では、行きましょう! 」

ミカエルは亜香里を睨むと俺の手を引き、歩き始めた。

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