* 孔明の艦隊

 昨今のフィクションは適当に歴史上の人物を引っ張ってきてけしからんとお怒りの皆様へ。


 そんなのは昔からです。


 本作は直木賞作家志茂田景樹センセイの作品でして、確か私が高校の頃に読んだはずです。

 仮想戦記ブームでいかに日本がアメリカに面白く勝つかの大喜利みたいになってた時代でした。

 異世界転生より酷かったよあれ。


 で、本作は諸葛孔明が関羽と張飛と供に太平洋戦争に現れるという展開です。


 それ以上のあらすじをろくすっぽ覚えていないので、ググりましたが誰も書いていません。バカな。名作なのに。捨てたけど。


 手元に本がないので記憶があいまいなまま書きますが、ミッドウェー海戦で敗けた山本五十六の夢枕に諸葛孔明が立ち、現代の魏、アメリカを討つために力を貸そうと言ってくれるところから話は始まります。


 アメリカは現代の魏ではないよな、という疑問符を浮かべた時点ですでに読者は負けています。


 落ち着け、これは志茂田景樹の罠だ。


 ミッドウェーで四隻沈められた段階からの挽回ですからかなり厳しい状況ではあるのですが、なんとびっくり孔明は妖術を使えるのでなんでもありです。


 そもそも日本海軍の建艦計画に八八艦艦隊計画というのがあるんですが、これを孔明は八陣機動艦隊に作り替えて大活躍。数字以外のどこに共通点があるのか一切わかりませんが、なんとなく縁起がいいのでここから日本連合艦隊は爆勝ちします。


 しかしここでアメリカ側にも魏の名将が降臨して、ミッチャーが曹操か司馬懿のどちらかになります。トルーマンが曹操だったかな。


 とにかくこれで、日米決戦はさながら三国志のようになります。むしろ完全に三国志です。じゃあもう三国志でええやん。


 どうせ誰も読まないでしょうからラストまでネタバレしますが、最後に山本=孔明は死にかけるものの、死に際の妖術で米艦隊は太平洋に突如現れた濁流にのみこまれて沈みます。よかったよかった。

 『死せる山本、行けるミッチャーを走らす』というのが最終章のタイトルだったような気がします。


 直木賞作家の作品と思えない? この人こんなのばっかりですよ。戦国の長島巨人軍なんかプレミアが付いてて何千円もするのでもはや買えません。


 時々私に「こんなバカバカしい本を見つけましたよ」と教えてくれる人がいますが、そういう人にはこのの本を積極的に送りつけようと思います。


 最初に書いた通り、かなり前に処分したので新しく買わないといけませんが。

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