第32話 「そんなの虹ちゃんの好きな女性のタイプの話に決まってるじゃないですか」
「ごちそうさま。すごく美味しかったよ。ありがとな」
「お粗末様です。そう思ってもらえていたのは、虹ちゃんの食べている姿を見ていれば嫌というほど伝わってきましたよ」
「そうかな?」
俺の言葉に翠は苦笑交じりに答える。そんなにわかりやすかっただろうか?俺としてはそんなつもりは微塵もなかったのだが。
「えぇ、本当に美味しそうに食べてましたよ。口に運ぶたびに、子どものように目を輝かせたり、頬をこれでもかというほどに緩ませたりして、とっても可愛かったですよ」
「うわ、マジか。自分じゃ全然わからなかったわ。なんか恥ずかしいな」
翠に指摘され、初めて自分が無意識に顔に出していたことに気づかされ、思わず赤面してしまう。
「ふふっ、虹ちゃんったら顔が赤くなってますよ。可愛いですね」
「‥‥うるさい、自分でも顔が赤くなってることくらいわかってるから、わざわざ言わないでくれ」
今度は赤面していることを指摘され、余計に顔が熱を帯びてくるのを感じる。自分でもわかっているからこそ、人に指摘されるのは余計に恥ずかしくなってしまう。
「‥‥とりあえず、俺は後片付けをやっておくから!翠はソファにでも座って待っててくれ!」
捨て台詞のようにそう言い残し、俺は食器をまとめてシンクの方へと持っていく。その時、後ろから翠の「はーい」という苦笑交じりの言葉と、妙に生暖かい視線を送られていたのは気にしないことにしよう。
「それで虹ちゃん、この時間は蒼ちゃんとはどのように過ごしていたのですか?」
夕食の後片付けを済ませ、翠と二人でソファでくつろいでいると、唐突に翠が質問をしてきた。
「どのようにって言われてもなぁ‥‥。ただ普通にダラダラと話していただけだけど」
「そうですか。どのようなお話をされていたのですか?」
「ん?あぁ‥‥なんか好きな女性のタイプを聞かれたかな」
「その話、もう少し詳しく聞かせてもらえますか」
(な、なんだ?翠にしては珍しく食いつきが良いな)
いつもとちょっと違った翠の反応に、若干戸惑いを覚えつつも会話を続けていく。
「詳しくって、何を話せばいいんだ?」
「そんなの虹ちゃんの好きな女性のタイプの話に決まってるじゃないですか」
「え、えぇ‥‥‥‥」
正直、あの話は二度としたくないのだが‥‥翠の目を見る感じ、話さないと納得してくれなさそうなんだよなぁ。いつもの翠からは想像できないくらい目を輝かせて、俺が話し出すのを今か今かと待ち続けている。そんな目をされると余計話しづらいのだが‥‥‥‥。
「さぁ、早く!」
「あーわかったわかった。話すからそんなに近づいてこないでくれ」
燦燦と目を輝かせて身を乗り出してくる翠を引きはがしつつ、昨日蒼に話したことを同じように翠にも話す。
「俺のタイプは朱莉と蒼と紫夕と翠と白亜が混ざった感じの人だよ。自分でも何言ってるのかわかんないけどな‥‥」
昨日、蒼に話した時にも感じた羞恥をまた感じながら、チラリと翠の方に目をやると翠は手で口元を隠しながら俯き、肩を震わせていた。
「お、おい!翠!なんで笑ってるんだよ!」
「すいません‥‥プフッ‥‥あまりにも‥‥予想外過ぎる答えが返ってきたので‥‥フフッ‥‥」
まだ余韻が残っているのか、時々苦笑を漏らす翠。そんなに笑われると、もっと恥ずかしくなってしまうじゃないか。
「虹ちゃんには申し訳ないのですけど、虹ちゃんの答えが予想外過ぎました‥‥。しばらくは忘れられそうにありませんね‥‥フフッ‥‥」
「頼むから忘れてくれ‥‥」
その後しばらく、翠は俺の話で笑い続けていたのだった。
同時に、俺は2度とこの話をしないことを、心に誓ったのだった。
――――――――――――――――――――――――――――
彩「(^^)」
作「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
彩「私が何を言いたいかくらいはわかるわよね?」
作「はい‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
彩「何ヵ月ぶりかしら?」
作「本編に関しては約5ヵ月ぶりですかね‥‥‥‥‥」
彩「おかしいわよね?」
作「まったくもってその通りでございます」
彩「もっと更新できるわよね?」
作「月にいっk‥‥」
彩「は?」
作「1週間に一回更新します」
彩「妥協してそのくらいね。自分で言ったからにはきちんとやりなさいよ」
作(あなたが言わせたんじゃ・・・・・)
彩「なにか言いたそうね?」
作「なんでもありません‥‥‥‥‥‥」
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