69 そうだ、街を潰そう
気合いを入れたその日の内に、私は次の行動を開始した。
リーフが起き出してきたので、とりあえず一緒に朝食を取り、
その後、リーフに色々と質問してから「ちょっと出掛けてくる」と言って、オートマタを目的地へと派遣。
今回の目的地は、リーフを購入したボルドーの街だ。
隠密ゾンビを同行させて、神隠しのスキルで門を素通りする。
この時、先生ゾンビも一緒に連れて行くのがミソだ。
先生ゾンビのテレポートは、一度行った場所にしか転移できないから。
隠密ゾンビをダンジョンに戻し、オートマタはそのまま先生ゾンビと共にボルドーの街を歩かせる。
行き先は、街の四方に設置された他の門だ。
ボルドーの街は(というより、この世界の殆どの街は)魔物対策の城壁に囲まれている。
そして、この街の城壁には、東西南北に一つずつの門が設置されてるらしい。
リーフからそう聞いた。
実に都合がいい。
この街を滅ぼすのに。
そう。
私は今日、この街を滅ぼすつもりなのだ。
前にも考えたけど、ダンジョンとの距離的に、この街は滅ぼした方がいい。
街を滅ぼすだけの戦力を外に出すのは若干不安だけど、前よりもダンジョンの防衛力は上がってるから大丈夫だろう。
それに、今はこの国の王都が滅んだ状態だ。
多分、ここでどんなに暴れても援軍は来ない。
それどころか、私が何もしなくても、数日中には元王都から雪崩れ込むだろう魔王軍によって、国内は蹂躙されると思う。
だったら、私が潰しちゃっても問題ない筈だ。
なんで私がわざわざそんな事するのかと言ったら、ひとえに経験値の為としか言えない。
勇者狩りで大幅にLvを上げた私だけど、まだまだ魔王の足下にも及ばない。
だったら、少しでも力の差を埋める為に、少しでも多くの経験値がいる。
滅び行く国の街や村なんて、無防備で狩りやすい絶好の鴨を見逃す理由がないのだ。
この街を潰した後は、手を伸ばせる範囲にある人間の集落を片っ端から潰す予定なんだから。
でも、経験値とDPを得る為には、ただ殺すだけじゃダメ。
ちゃんと、ダンジョン領域内で殺さないと。
これには当然、前に村を滅ぼした時みたいにオートマタの疑似ダンジョン領域を使う訳だけど、
疑似ダンジョン領域の範囲である、半径10メートル以内で街の全ての住人を殺すなんて、とてつもない作業だ。
時間もかかるし、下手したら取りこぼしも出る。
だからこそ、準備はしっかりと。
住人全てを袋のネズミにして、確実に殺せるように。
という訳で、先生ゾンビを連れて、四方の門全てにテレポート可能な状態にした。
そしたら、すぐに計画実行。
今回は別に目立っても援軍は来ないって事で、昼間から盛大に殺る事にした。
まずは四方の門へと、それぞれゾンビ軍団とゴーレム&ガーゴイル軍団を派遣し、門を爺ゾンビや魔木ゾンビの氷魔法と、ガーゴイルの土魔法で塞ぐ。
そして、門を守れるだけの戦力を残し、他は村を潰した時と同じように、端から追い詰めるように散開。
城壁付近の家に火をつけ、住人が火から逃げて中心に集まるようにした。
この時、予想外の活躍をしたのが調教ゾンビ。
思った通り『調教』のスキルが人間にも有効だったのもあるけど、予想外だったのは、その効果でかなりの大人数を操れた事だ。
調教ゾンビはLvが低い。
その分、スキルを発動させる為のMPも低い。
だから、調教のスキルも乱発はできないと思ってた。
だが、しかし。
どうも調教のスキルは、成功率はともかくとして、発動には大したMPを使わないらしい。
ゴーレムとかが弱らせて、調教ゾンビがモン◯スターボールを投げる。
これによって、実に数百人を同時に操る事ができた。
物は試しって事で投入したけど、まさかここまでの成果を上げるとは。
操った連中は、手駒として使った後に、オートマタが近づいた時点で自害させた。
使ってみた感覚としては、奴隷紋を刻まれた奴隷に近いかな。
ゾンビと違って意識も自我もしっかり残ってるけど、命令には絶対服従みたいな。
でも、リーフみたいに長期的な駒にしようとは思わない。
泣きながら隣人を襲い、オートマタを睨みながら絶命していく連中を見てたら、そんな気は失せる。
怒りと悲しみと憎しみのオンパレードだもの。
そんなのを手駒にして、何かの拍子に支配が解けたら怖いじゃん。
残らず皆殺しにしましたとも。
そうして、実に効率よくボルドーの街は滅んだ。
抵抗する兵士や冒険者もいたけど、ここは生前の不死身ゾンビごときが最強と呼ばれていた街。
それよりも遥かに強いステータス万超えのゾンビに加えて、量産型のゴーレム&ガーゴイル軍団という、質を備えた数の暴力に勝てる筈もなく、半日もかからずに壊滅した。
村の時と違って、面倒だったから証拠隠滅に建物を一軒一軒還元するような真似はしなかったけど、しっかり街全域に火は放ったから、生き残りはいないと思う。
生き残ってる住人は、意図的に残した奴らだけだ。
そして今、オートマタはその生き残りの目の前にいる。
この街での最後の仕事をする為に。
現在地は冒険者ギルド。
目の前には、半殺しにした上に調教のスキルで操ったギルド職員が多数。
さあ、今こそ異世界物のテンプレ、冒険者登録の時間だ。
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