68 勇者狩り、戦果
翌日。
ぐっすり寝たけど、勇者と魔王という悩みの種のせいで快眠はできず、まだ昨日の疲れが残ってる感じで目覚めた。
私が心の底から安心して眠れるのは、あの二人を殺して、大きな脅威を排除しきった時だろう。
安眠までの道は遠い。
そんな憂鬱な気持ちでベッドから這い出し、顔を洗った。
ご飯は……まだいいや。
まだ寝てるリーフの餌やりの時に、一緒に食べよう。
さて、目は覚めたし、この朝の時間は昨日の戦果確認に使うとしようか。
昨日は疲れてたから、確認作業やる前に寝ちゃったしね。
で、昨日の勇者狩りで手に入った物だけど。
まず最初はDPから行こう。
昨日一日を通して入手できたDPは、150万DP。
過去最高の収入だ。
やっぱり、勇者狩りはしゅごい。
次に、ゾンビにする為の死体。
こっちに関しては、期待してた程じゃないかな。
お披露目式に出てた連中の死体は、回収する暇も還元する暇もなかったし。
回収できてたとしても、Lvが低すぎて大した戦力にはなってなかったと思う。
大きな戦力になりそうなのは、魔木と剣のゾンビだけだ。
でも、お披露目式に出てなかった勇者。
教会から出てきたところを仕留めた連中に関しては、予想外の収穫だった。
ほぼ全員が非戦闘系のユニークスキル持ちで、お披露目式に出てた連中よりLvが低かったから、直接的な戦力としては使えないけど、
その代わりに、隠密ゾンビや創造ゾンビみたいに、痒い所に手が届くようなゾンビが何体か手に入ったのだ。
まず、ユニークスキル『錬金術』を持った、錬金ゾンビ。
このスキルは色んな事ができるみたいだけど、中でも一番注目したのは、合成という能力。
物と物を合成、つまり二つの物を一つにして、その性能を大幅に向上させるっていう能力だ。
これを使えば、リビングアーマー先輩の素材になってるオリハルコンを強化して、更なる戦力向上が見込める。
素材による強化は頭打ちだと思ってたけど、まさかこんな裏技があったとは。
早速、創造ゾンビにミスリルの量産をやめさせ、代わりにオリハルコンに匹敵する上位金属、ヒヒイロカネとかアダマンタイトとかの創造を始めさせた。
これだけ上位の金属となると、一日に造れる量が少なくて、完全体リビングアーマー先輩になるのはしばらく先だろうけど、それは仕方ない。
時間を掛ければ大幅な強化が見込めるってだけでも、破格の効果だと思わないと。
ちなみに、これに伴って量産型ミスリルゴーレム計画は白紙になったけど、それも仕方ない。
魔王みたいな絶対強者に対抗するには、そこそこ強いモンスターを大量に造っても意味ない。
滅茶苦茶強いモンスターじゃないと勝負にすらならないんだから。
それはともかく。
次は、ユニークスキル『調教』を持った、調教ゾンビ。
このスキルは、一定以上HPが減った相手を調教というか、テイムして味方にするスキルだ。
某ポケットなモンスターに搭載されてる、モ◯スターボールみたいなスキルだと思えばいい。
そして、まだ試してないからわからないんだけど、このスキル、もしかしたら
どう考えても対モンスターを想定してるスキルだけど、鑑定結果には、人間に効かないとは書かれてないのだ。
もしそうなら、これからの作戦の幅が大きく広がりそう。
まあ、できればの話だけどね。
それがダメでも、使い道はいくらでもあるスキルだから問題なし。
思わぬ拾い物は、この二体のゾンビだけかな。
残りは、石盾や破壊ゾンビみたいに中途半端なステータスしかない奴、もしくは『農業』とかのダンジョンでは使い道が思いつかないユニークスキル持ちだったりしたので、さっさと還元した。
150万DPっていうのは、そういう還元分も含めての数字である。
アイテムに関しては、ほぼ収穫なし。
今回はアイテム回収してる暇がなかったからね。
更地になった王都から色々と火事場泥棒してくる事もできそうだけど、それはやらない。
既に魔王が回収してそうだし、何より他に当てがあるから。
で、次が最後の戦果。
大本命である経験値だ。
これは本当に凄い。
なんと!
私のLvは、一気に85にまで上がったのだ!
ステータスは、こんな感じ。
ーーー
ダンジョンマスター Lv85
名前 ホンジョウ・マモリ
HP 920/920
MP 100080/100080
攻撃 451
防御 449
魔力 55800
魔耐 680
速度 497
ユニークスキル
『大魔導』
スキル
『MP自動回復:Lv61』『雷魔法:Lv19』『回復魔法:Lv19』『並列思考:Lv30』『演算能力:Lv30』『統率:Lv15』
称号
『勇者』『異世界人』『誤転移』
ーーー
MPが驚異の10万超え!
魔力も5万超えてる!
魔力に関しては、Lvアップだけじゃなくて、魔法の練習を始めてからめっちゃ伸びた。
やっぱり、ステータスっていうのはLvだけでは推し量れないらしい。
努力って大事。
それに、このステータスなら、あとは私が真装を会得して、リビングアーマー先輩を着込んだ上での戦い方をマスターすれば、魔王にもギリギリ対抗できるかもしれない。
現状、魔王との敵対はイコールで死だ。
でも、勝ち目が少しでも出てくると、精神的にかなり楽になると思う。
勝率0%と0.1%じゃ全く違うんだ。
もしかしたら何とかなるかもしれない。
その思いは人を強くしてくれる。
よし!
これからも頑張ろう!
魔王と勇者がなんぼのもんじゃー!
私は必ず奴らを超えて、最強の引きこもりになってやるぞー!
そして、絶対に夢の平穏な引きこもりライフを手に入れてみせる!
憂鬱なんて吹き飛ばせ!
「おー!」
私は一人、居住スペースにおいて拳を天に突き上げ、気合いを入れたのだった。
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