43 ボルドーの街
ダンジョンを弄りながらオートマタを歩かせる事、数時間。
意外な事に、まだ朝と言えるくらいの時間には街に辿り着いてしまった。
歩いて半日っていうのは、一般人の足で歩いて半日って意味なのかもしれない。
まあ、なんにせよ早く着けて良かった。
私の生活リズムは乱れきってるし、昨日は夜に一仕事したから、お昼を過ぎると眠くなりそうだし。
早速、街に入るべく、門の前に出来てる列に並んだ。
さすがに、この街は街と言うだけあって、立派な城壁に守られている。
そして、当然だけど、街に入るには門から入らないといけない。
他の連中は、何か軽い手続きをしてから街中に入ってる。
……万が一、この手続きで鑑定石使われたら詰むかも。
じっくり観察して、もしヤバかったらさりげなく逃げよう。
急用を思い出した的な感じで。
そして、夜中にこっそり城壁を登って侵入だ。
そんな感じで身構えてたんだけど、列が進んだところで手続きの場所が擬似ダンジョン領域に入り、そこをモニターで映してみたところ、鑑定石は使われてないみたいだった。
代わりに、通行税みたいなものを払ってる。
それなら一安心だ。
お金なら、侵入者が持ち込んだ分と、村から略奪してきた分がある。
そうこうしている内に、前に並んでいた商人っぽい奴が通過し、私の番になった。
「冒険者か。じゃあ、冒険者カードを提示してくれ」
門番にいきなり勘違いされた。
冒険者にはならないと決めたし、これからは少し服装を変えるべきだろうか?
いや、それだと戦闘になった時が面倒だな。
このままでいいや。
それはともかく。
とりあえず、首を横に振って勘違いを訂正する。
「違います。冒険者じゃないです」
「ん? ああ、なるほど。なら冒険者志望って事か。
そういう事なら、通行料銀貨1枚だ」
言われた通りに銀貨1枚を支払う。
銀貨は、鑑定して『銀貨』と表示されたやつを使ってるから、これで間違いない筈。
ちなみに、他には金貨と銅貨がある。
多分、銅貨→銀貨→金貨の順で価値が上がっていくんだろうけど、銅貨何枚で銀貨になるのかは知らないし、銀貨1枚がどのくらいの価値なのかも知らない。
常識を覚えるのは急務だ。
「はいよ、確かに。それと、悪いんだが、仮面を取って顔を見せてくれ。
お尋ね者とかを街に入れる訳にはいかないんでな」
……気乗りしない。
でも、仕方ないか。
仮面を外して、素顔を見せる。
門番が息を飲んだ。
お前もか。
「もういいですか?」
「あ、ああ。入っていいぜ。ようこそボルドーの街へ」
仮面をつけ直し、若干挙動不審になった門番を無視して街中に入る。
あー、気分悪い。
この街も滅ぼしてやろうか。
ダンジョンからの距離を考えると、潰した方がいい事は確かなんだけど。
でも、さすがに街一つ滅ぼせるだけの戦力をダンジョンから出したくはない。
防衛力がゴッソリと減る。
しばらくは我慢かな。
あと、やっぱり私の顔って目立つよね。
絶世の美少女の顔は、どうしても目立ってしまう。
いっそ、今からでもオートマタのデザインを変えようか?
……いや、これ以上オートマタにDPはかけたくない。
それやるくらいなら、リビングアーマー先輩に貢ぐ。
でも、そうなってくると、マーヤ村で目撃者を皆殺しにしたのは大正解だったなー。
バレなきゃ犯罪じゃないとは、よく言ったもんだ。
そんなこんなで街への侵入を果たした
「あの、すみません」
「ん? なんだい?」
声をかけたのは、若い男。
男は女よりも嫌いだけど、私の目的の場所は男の方が詳しく知ってそうだから、仕方なくそうした。
リックとやらの時もそうだったけど、オートマタ越しじゃなければできない暴挙だ。
そんな嫌な気分を味わいながらも、目的地の事を男に聞いた。
「奴隷を売ってるお店は、どこにありますか?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます