こころの旅

あめ

暗闇


気がつくと、少しの光も見えない深い闇の中にいた。


前も後ろも、上も下も何も分からない闇。


僕はなにをしていたんだろう?何も思い出せない。



なら仕方ない、思い出せるまでこのここちよい闇を漂ってみようか。





目を瞑り、身を任せる。



目を瞑っていると思っているのだけど、何せこんな暗闇だと何をしていようが変わらないんだ。



ふと、なんだかこの感覚を知っているような気持ちになった。


「あ…」



この感覚がなんなのか、まだ思い出せないけど


僕は今までを思い出していく旅をしなければいけない事を思い出した。



「そうだそうだ、僕は旅をしなければいけないんだ。僕というものを思い出すための大事な旅を」


そう気づくと、今まで底のない暗闇だった目の前に、かすかに光が見えたような気がした。



なんだろう、この今にでも飛び跳ねてしまうような、もぞもぞする気持ち


とりあえずこのもぞもぞを胸に連れて、あの光に飛び込んでみよう。

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