最終章 決別

第87話

 今までの不可解なこと…

 全て夢だった。


 鈴や幸に囚われた過去に悩んだ舞佳が、印象と実際に起きた事柄を織り交ぜて出来た世界だ。




「…私、自分の人生を、自分の足で幸せに生きていきたい…お母さんもそうして欲しい」


 目を開いて、鈴に顔を向ける。


 そこにいたのは、お嬢様のような姿をした人はいなくて…


 舞佳が大学の近くで見かけた五十代くらいの女性が立っていた。


「そんなこと言わないでよ、舞佳!私は、一人なの…幸も家を出ていった…お父さんもいないの…一人にしないで…」


 舞佳はペンダントを引きちぎった。


「さよなら、お母さん」


 そして、スマホの画面をタップして…

 鈴の連絡先を消去したのだ。


「待って、待ってよ…!」


 鈴が足元から消えていく…


 ようやく、この悪夢から覚めることができた。

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