棋士と人造人間

せいや

棋士と人造人間

将棋が大好きな男がいた。

彼には一緒に将棋をする友達が居なかった。

なぜなら、彼は将棋が強すぎて、誰も彼の相手をしたがらなかったからである。

彼は、もう既に10年近くは負けていない。

もっと強い相手と勝負がしたかった彼は、将棋ができる人造人間を作ることにした。


彼は、今まで時間を費やしてきた将棋の勉強をやめ、ひたすら医学書と工学書を読みふけった。

そしてついに彼は、人造人間をつくることに成功した。

男は、自分の造った人造人間に、得意げに話しかけた。


「おい人造人間、私と将棋をしようじゃないか」

「将棋トハナンデスカ」

「将棋を知らないのか」

「ワカリマセン」


仕方がないので、男は将棋のルールを人造人間に説明した。

しかし一向に、人造人間はルールを理解しなかった。

痺れを切らした男は、人造人間のスイッチを落とした。

そして、人造人間の脳ミソの容積を増やした。


「これで、ルールを理解できるくらいの知能にはなっただろう」


男は、期待と不安を胸に、人造人間に話しかけた。


「おい人造人間、私と将棋をしようじゃないか」

「将棋?イヤデス」

男は、人造人間の反抗的な態度に憤りを感じた。

「なんだと?なぜ嫌なんだ」

「ダッテ、将棋ッテ、センテヒッショウ ジャナイデスカ」

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棋士と人造人間 せいや @mc-mant-sas

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