【夫婦恋愛】沙織(38歳)〜ひと夏のガールフレンド

佐伯達男

ひと夏のガールフレンド

「沙織…」

「じゅんぺい…沙織…がまんできない…早くきてぇ〜…」


時は7月の第3木曜日の朝5時頃であった。


場所は、いよてつ郡中駅前にあるロフティ(ロフト式のマンション)の一室にて…


アタシ・沙織(38歳・読者モデル)とダンナ・じゅんぺい(40歳・ガソリンスタンド勤務)は、ベッドで抱き合っていた。


アタシにキスをしたじゅんぺいは、アタシが着ていたネイビーのサテンパジャマを脱がした。


つづいて、パジャマの下に着けていたベージュのユニクロワイヤレスブラ(リラックスタイプ・アタシが寝るときに着けている)を取った。


じゅんぺいは、アタシの103のIカップの極爆乳おおきすぎるおっぱいをキスでむさぼった。


「ああ…沙織…コーフンしちゃう…」


じゅんぺいは、約50分かけてIカップの極爆乳おおきすぎるおっぱいをキスでむさぼった。


この時、アタシの身体はフニャフニャになっていた。


「沙織…沙織…」

「ああ…イヤ…」


じゅんぺいは、エアリズムのヒップハンガーショーツを脱がした。


やだ…


はずかしい…


そして、最大のヤマ場を迎えた。


そんな時であった。


ベッドのテーブルの上に置かれているアタシのギャラクシー(スマホ)にメールの着メロに設定しているパフィユームの歌で『クリンクリン』のサビの部分が繰り返して流れていた。


「じゅんぺい…待って…」


アタシは、ギャラクシーを手に取ったあと新着のメールの内容を見た。


新着メールは、東京にある雑誌の編集部からであった。


30代から40代の主婦層向けの雑誌の編集部からのメールで、モデルの依頼が入りました…と言う内容であった。


この日は、ダンナのガソリンスタンドのバイトがお休みだった…


アタシは、1日中ダンナとデートを楽しむ予定だったが、急にモデルの依頼が来たので東京ヘ行くことになった。


そして、出発の時間が来た。


きょうののコーデは、メイクはコフレドールのアイシャドウとほお紅と真っ赤なリップ…ファッションは、ピンクと黒のドットのブラウスとオレンジ系のマキシ丈のスカート…足もとはおしゃれなサンダル…右手に白のトートバッグを持っている…


…であった。


本来は、ダンナとデートする時に使うコーデであった。


ダンナとアタシは、部屋の玄関でこんな会話をした。


「何だよぉ…せっかくのお休みだと言うのにモデルの仕事かよぉ…」


ダンナは不満げな声でアタシに言うた。


アタシは、ダンナに申しわけない声で言うた。


「じゅんぺいごめんね…せっかく一緒にデートをしようねと言ってくれたのに…急なお仕事が入っちゃったのよ~」

「しょうがないな…それじゃあ、今日はひとりで近くをぶらっと歩いてくるよ…」


アタシは、ダンナに申しわけないと言う表情で家を出た。


その後、アタシはいよてつ郡中駅から電車に乗って松山市駅まで行った。


それから20分後に電車はいよてつ松山市駅に到着した。


電車を降りたアタシは、改札口を通って空港行きのリムジンバスの乗り場ヘ向かった。


その後、空港行きのリムジンバスに乗り込んだ。


リムジンバスに乗っているアタシは、大きくため息をついたあとダンナと出会った時のことを思い出した。


アタシは18歳の時にダンナと結婚して、男の子ふたりのママになった。


アタシの職業は、モデルです。


アタシは、中学の時にティーン雑誌の読者モデルでデビューした。


ティーン誌の読モ→結婚出産後はギャルママ雑誌の読モ→30代から40代の主婦層向けの雑誌の読モを務めている。


ダンナのガソリンスタンドのお給料だけでは足りない分はアタシの読書モデルのモデル料で補っていたので生活には困っていなかった。


子供は、ふたりとも中学卒業後は県外へ出たので家にいなかった。


大阪ヘ出た長男は、工場で働きながら定時制高校へ通った。


高校卒業も、引き続き今の職場で勤務している。


次男は、横須賀の陸上自衛隊の高等工科学校に進学した。


将来は自衛官になって、国のために役に立つことを目指して、勤勉の日々を送っている。


ふたりの子供は、経済的にも精神的にも自立した。


ふたりとも親元に帰ることがなくなった。


アタシたち夫婦の子育ては完全に終了したので、ふたりの時間が十分取れた。


10代20代の時にできなかったことを目いっぱい楽しむことができるようになった…


しかし…


アタシとダンナの休日の予定が合わない…


ダンナは、さびしい想いをしていた。


じゅんぺい…


ごめんね…


アタシと一緒に…


ラブラブの時間を過ごしたかったのね…


ごめんね…


アタシのは、ダンナに申し訳ない気持ちを抱えたまま東京ヘ向かった。


それから4日後のことであった。


アタシとダンナが暮らしている部屋に、ティーン誌の読者モ時代に仲が良かったれいなちゃんが遊びに来た。


アタシとれいなちゃんは、モカブレンドをのみながら読モ時代の話に華を咲かせた。


れいなちゃんは35歳だが、未婚であった。


れいなちゃんは『いつも両親から『いつになったら結婚をするのだ!!』と言われてばかりいるから耳が痛いわ。』とアタシにぐちった。


アタシは、れいなちゃんにこう言うた。


「そうなんだ…れいなちゃんは結婚はなんのためにすると思うのかな?」

「両親のための結婚よ。」

「両親のためね…お兄さんたちはどうなのよ?お兄さんたちは結婚しているの?」

「兄はふたりとも結婚をする気は全くないわよ!!『面倒くさい』とか『しんどい』とか言うて…無関心になってるのよ!!」

「無関心になってるのね。」


そんな時であった。


ダンナがガソリンスタンドの勤務を終えて、帰宅した。


「ただいま。」

「お帰りなさい。」

「友達?」

「うん…ティーン雑誌の読者モデル時代に仲良しだったれいなちゃんよ。」

「初めまして、れいなです。」


れいなちゃんは、ダンナに一礼してあいさつをかわした。


ダンナは、少し恥ずかしげな声で『初めまして。』とれいなちゃんにあいさつした。


れいなちゃんは、アタシにこう言うた。


「沙織ちゃんはいいわね。」

「どうしたのよ?」

「ハンサムなダンナさんと結婚して…ラブラブな暮らしを送ってる…うらやましいわ。」

「やだ、恥ずかしいわ。」


アタシは、れいなちゃんにほほえみながら言うた。


7月の最終土曜日のことであった。


ところ変わって、今治国際ホテルのエントランスのカフェテリアにて…


この日は、れいなちゃんのお見合いが行われる予定であった。


れいなちゃんは、ご両親と兄ふたりの家族と一緒にカフェテリアにやって来た。


この時、お見合いを申し込まれた男性ひとりと愛結び(愛媛県のお見合い事業)のスタッフさんがいた。


れいなちゃんが家族同伴で来たので、お見合い相手の男性はビックリした。


お見合いはしたけど、会話が全く進まなかった…


お見合い相手の男性は、ものすごくつらい表情を浮かべた。


れいなちゃんは、途中で席を外してどこかへ行った。


結局、お見合いは壊れた。


それからまた数日後であった。


れいなちゃんがアタシとダンナの部屋に遊びに来た。


この日も、アタシは読者モデルの依頼が入ったので東京に行くことになった。


れいなちゃんはアタシに『結婚をするよりも、お友達感覚の方が気が楽でいいから…お見合いを断ったわ。』と言うた。


アタシは『ちょうどよかったわ。』と言うてダンナのガールフレンドになってほしいとお願いした。


れいなちゃんは、ダンナのお相手をすることになった。


「それじゃあ…アタシは東京ヘいくから…あとはお願いね。」


アタシは、ダンナとれいなちゃんに言うた後、ボストンバックと白のトートバッグを持って東京へ向かった。


それから30分後であった。


ダンナとれいなちゃんは、いよてつ電車に乗ってエミフルマサキ(フジグラン)ヘデートに行った。


7月の第3土曜日にリニューアルオープンをしたばかりのエミフルマサキで、ダンナとれいなちゃんは腕を組んでショッピングモール内を歩いた。


ふたりは、エミフルの2階にあります婦人ファッションの売り場にやって来た。


この時、婦人水着が定価よりも50パーセントオフになっていた。


れいなちゃんは、ダンナにビキニの水着を買ってとおねだりした。


ダンナは、れいなちゃんにビキニの水着を買ってあげた。


それから20分後のことであった。


ダンナとれいなちゃんは、エディオン(家電量販店)の前にある公園のベンチに座って、こんな会話をしていた。


「ねえじゅんぺいさん、お願いがあるの。」

「お願い…」

「あのね…今からふたりで海へ泳ぎに行かない?」

「今から。」

「ねえお願い、海に連れてってよぉ…」


このあと、ダンナとれいなちゃんは再びいよてつ電車に乗って郡中港駅まで行きました。


電車を降りたふたりは、駅から歩いて五色姫海浜公園まで腕を組んで歩いて向かった。


ところ変わって、五色姫海浜公園にて…


ダンナは、先にえんじ色のサーフパンツをはいていたのですぐ水着姿になった。


しばらくして…


「お待たせ。」


れいなちゃんは、ミントグリーンのパーカー姿でダンナの元にやって来た。


「水着は?」

「パーカーの中に、水着を着てるわよ…目を閉じて…」


ダンナが目を閉じた後、れいなちゃんは着ていたパーカーを脱いだ。


「目を開けて…」


ダンナが目を開けた時…


れいなちゃんは、グレードットの三角ビキニを着ていた。


ビキニ姿のれいなちゃんを見たダンナは、ドキドキしていた。


三角ビキニブラを支えている100センチのHカップの極爆乳おおきすぎるおっぱいが今にもあらわになりそうだった…


どうしよう…


嫁はん以外の女の子の水着姿を見てコーフンするなんて…


ダンナの気持ちは、コンワクしていた。


れいなちゃんは、ダンナに声をかけた。


「それじゃあ、ふたりで浜辺へ行こうか?」


このあと、ふたりは浜辺に行った。


ふたりは、子供のように水のかけあいをするなど…楽しいひとときを過ごした。


楽しいひとときは、あっという間に過ぎた。


夕方5時過ぎであった。


ふたりは、遊び疲れてくたくたになっていた。


家族連れのお客様たちが帰宅準備を始めた…


若者たちのグループは、まだビーチで遊んでいた…


そんな中で、ダンナとれいなちゃんは手をつないでのんびりと歩いていた。


「今日は…楽しかったわ…うれしいわ。」

「ぼくも、楽しかったよ…」


しばらく歩いたところで、ふたりはビーチバレーのコート付近で足を止めた。


れいなちゃんはダンナに『ねえ…キスをして…』と言うた。


ダれいなちゃんを抱きしめたダンナは、夕暮れをバックにキスをした。


れいなちゃんは、夢心地に包まれた。


それからふたりは、ダンナの休日ごとに8月の中旬頃までデートをした。


その間、アタシはモデルの仕事の予定が8月26日頃まで入っていたので東京に滞在する期間がさらに延長された…


時は流れて…


8月の最終土曜日のことであった。


れいなちゃんの両親と兄ふたりは、お見合い相手の意思を聞かずにごり押しでれいなちゃんとの挙式披露宴の日取りを8月の最終土曜日と決めたようだ。


この日、今治国際ホテルのエントランスのロビーにれいなちゃんの家の親族のみなさまとお見合い相手の家の親族のみなさまがたくさん集まっていた。


出席者のみなさまは、ものすごくつらい顔をしていた。


それなのに、れいなちゃんの両親と兄ふたりは一方的に挙式披露宴を取り仕切った。


場の雰囲気は、ますます険悪になった。


挙式が始まる5分前のことであった。


ウェディングドレス姿のれいなちゃんは、新婦の控え室で大パニックを起こした。


大パニックを起こしたれいなちゃんは、控え室から飛び出した。


れいなちゃんはエントランスに止まっていたタクシーに乗り込んだあと、どこか遠くへ行った。


その直後に、ホテルの中では大規模なトラブルが発生した。


れいなちゃんの両親と兄ふたりは、大パニックを起こしたようだ。


ところ変わって、シーサイドふたみ(海浜公園)にて…


アタシとダンナは、海をながめながらのんびりと過ごしていた。


その時であった。


ウェディングドレス姿のれいなちゃんがアタシとダンナのもとにやって来た。


「じゅんぺいさん!!沙織ちゃん!!ああ!!会えてよかったわ!!」

「れいなちゃん、一体どうしたのよ!!」

「いまこく(今治国際ホテル)から逃げてきた!!結婚式がイヤになって逃げてきたのよ!!」

「結婚式がイヤになった?」

「どういうことよ?」


アタシとダンナは、わけがわからずにコンワクした。


そこへ、タクシーの運転手さんがやって来た。


運転手さんは、今治から双海までのタクシーの料金を払ってくださいと言うた。


仕方なく、アタシとダンナで折半せっぱんしてタクシー代をはらった。


それから2時間後のことであった。


アタシとダンナは、れいなちゃんに結婚式から逃げてきた理由をたずねた。


れいなちゃんは、アタシとダンナに結婚式から逃げてきた理由を話した。


「アタシね…中学高校の時から、モデルと勉強の両立の日々だけを過ごしていたの…高校卒業して短大に行っても学業とモデルの両立の日々だけを過ごした…短大を卒業したあと、銀行に就職した…けれど、職場と家庭の往復の暮らしをしていたから…恋ができなかった…だから結婚は自分のためではないと思った…両親が『どーしても…』と言うから…仕方なくお見合いした…けれど…気持ちが…結婚したいと言う状態じゃなかった…」


れいなちゃんが言うた言葉に対して、アタシはれいなちゃんにこう言うた。


「つらかったのね…れいなちゃんの気持ちはよくわかったわ…それだったら…結婚なんかしなきゃいいのよ…れいなちゃんは…結婚には最初から向いていなかったのよ…そう思えばいいじゃない。」

「そうよね…アタシは…結婚に向いていなかったよね。」


れいなちゃんは、一度家族の元へ帰って意思を伝えるとアタシに言うた。


れいなちゃんは、その後迎えに来た兄ふたりと一緒に家族の元へ帰った。


それからまた時は流れて…


9月の第1土曜日のことであった。


アタシとダンナは、いよてつタカシマヤへデートに行った。


アタシとダンナがまつちかタウン(地下街)側の入り口付近で、10時の開店時間を待っていた。


この時、遠くでアタシとダンナを呼ぶ声が聞こえたので後ろをふりかえった。


「じゅんぺいさーん!!沙織ちゃーん!!」


アタシとダンナは、大きめのボストンバッグと白のトートバッグを持っているれいなちゃんと再会した。


「れいなちゃん、どうしたのよ一体?」

「あのね…家から飛び出してきちゃった…両親と兄ふたりと大ゲンカをして飛び出して来たの…」

「そうねぇ…」


アタシは、ひと間隔をあけてかられいなちゃんに言うた。


「あのね…うちは…子供ふたりは経済的にも精神的にも自立したので帰る見込みがなくなったのよ…よかったら、3人で一緒に暮らさない?」

「えっ?3人で?」

「いいじゃない…ねえじゅんぺい…そうしましょ。」

「あっ…そうだね…よし、決定〜」

「やったー」


そして、朝10時になったと同時にデパートの玄関が開いた。


れいなちゃんはダンナの右腕にしがみついたので、アタシはやきもちをやいた。


「あー!!ずるーい!!じゅんぺいはアタシのダンナよ!!」

「いいじゃないのよ沙織ちゃん…ねーえ、ふたりで一緒にくるりん(観覧車)に乗ろうよぉ。」

「ダメ!!じゅんぺいはアタシと乗るの!!」


アタシもれいなちゃんに負けじとダンナの左腕にしがみついた。


この日、3人の遅い夏恋物語が始まった。


【おしまい】

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