第2話 出遭い




 はらはらと。

 山茶花のはなびらが舞う、はずだったのに。


 慮ってくれているのか。

 離れたくなくなったのか。

 怖くなってしまったのか。


 淡い紅だった縁を僅かに茶へと染めて。

 ぺちゃんこのまま山茶花の花は木に咲き続けていた。

 

 これでよかったのかもしれないな。


 いくらこの手に留めようとしても、すり抜けるだけならば。

 このまま木に咲き続けて、吸収されればいい。

 土にではなく、木に直接。


 と、ほぼ一日中黄昏れていたのは、つい先日。

 今はそんな暇はなかった。

 何故ならば。


「「おーい。人間の幽霊。今日も特訓に励むぞ」」

「ほんともう勘弁してください!」


 超熱血指導者たちに毎日毎日毎日追いかけられるにようになったからだ。











(2022.11.12)


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