第153話

 空を見上げ、ヌルスケ君の瞳からポロポロと涙が流れる、彼はそれほど魔女さんが好きだったんだ。


「ヌルスケ、魔女はいなくなった……これからどうする? ワタシと一緒に仲間のいる領地へ来るか?」


 サタ様が「領地へ来ないか」と誘ったが、ヌルスケ君は首をフルフルと振った。


「サタ様が誘ってくれて嬉しいよ。でもね、ボク、ここが好きだから残るヌル」


「そうか。1人が寂しくなったら、ワタシを呼ぶといい」

「僕も呼んでください」

「私も呼んで! たまに、ヌルスケ君に会いに来るよ」


「うれしいぃ、ありがとう。ここで待ってるヌル」


 毒湖――コース湖に住むヌルスケ君とまた会う約束をして、私達は北の果てのカルルの原っぱへ、ポーションの材料ククミンを採りにホウキで向かった。



 

 ヌルスケ君がいたコース湖を出て、お昼過ぎに北の大地、カルルの原っぱへ着いた。ここ北の大地は広い青空と豊かな緑――前世パンフレットで見た、北海道に似た広い大地だった。


 ――うわぁ、キレイ! いつか、こんな場所でキャンプしたいと思っていたんだよね!


 ウキウキとはじめて訪れた、広い大地を眺めた。

 となりのサタ様も広い大地に。


「なかなか良い所だな、昼寝したくなる」

「昼寝ね、いいですね」

「サタ様、アール君、昼寝もいいけど。――お昼、何に食べる?」

 

「「お好み焼き!」」


 2人の意見が一致する。


「わかった、いまから材料を切って焼くね」


 お昼にお好み焼きを食べてから、今日はテントでまったりしようと決めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る