第129話

 レンモンのシュワシュワを飲み干して、片付け、サタ様の転移魔法で魔法都市の隣にある領地へゴー! と行きたいが、ソーロ君の家の片付けをしてからになった。


「皆さま、しばらくお待ちください」

「すみません」

「待って」


 ソーロ君と家族はアイテムボックスにベッド、タンス、テーブルなのどの家具をしまい、他にいるものを次々しまっている。


 しばらくして洞窟の中は空っぽになり。


「皆様、家の片付けが終わりました」

「お待たせしてすみません」

 

「気にしなくていいです。サタ様、お願いします」

「まかせろ」


 サタ様の周りにみんなが集まる。


「準備はいいか? 領地へ転移するぞ」


「「おー!!」」


 転移の魔法陣が足元に光り、サタ様、アール君、パワー様、ラッテ殿、アビス君、ソーロ君の家族で、魔法都市サングリア近くの領地へと転移した。


 


 ❀


 


 遅めのお昼ご飯を堪能して、昼寝をした私たちは日暮近くに領地に転移した。着いてすぐサタ様は灯りの方を使おうとしたが、領地に設置された街灯が領地の中を明る照らした。


「うむ。人感センサー付きの街灯か?」


 歩くたびに街灯に明かりが灯り、領地の全貌が見えて


「「なっ!」」


 と、驚く。

 

 ほんの数日しか離れていないはずなのに……領地の面積は広く何軒もの家が立ち並ひ。エダマメマメ、トーモロコシ、タマネギギ、ダイダイコンなどの畑、リリンゴ、アンズン、ブドウーウなどの果物園ができていた。


 その近くに建つ大きな家は……もしかして、アウドラム家族とゲンさんの家かな? 双方、何処かに出かけているのか家の中には居ない。


「アウドラムとゲンは、今居ないようだな」

「そのようですね」


 その家を通り越すと、奥に同じような木造の家が、何軒も横並びに立っている。この家の外には木の樽が数個置かれて、木製の大きなテーブルと椅子、ベンチが設置されていた。


 これは食堂? それとも住居予定かな? と見上げると入り口に「エール蔵」と書いた、木製の看板がぶら下がっていた。


「エール蔵⁉︎」


 私の声にみんなが集まる。


「なに? エール蔵だと⁉︎」

「他にもブドウーウエール、ウメメエール、ブブベリーエールもあります!」


「おお、どの酒も美味そうだな」

「エールもいいけど。アビはハチミツ酒がいいな、アビも作ってもいいかな?」

「ハチミツ酒? 良いでござるな」


 いつの間にか領地の奥に、エールの酒蔵ができていた。

 パパがサタ様達のために建てたのかな?

 

 その横にカマドとピザ窯、平らにならされた更地。

 もしかして頼んでいたキャンプの出来る場所! この場所にテントを張ればいいのかな? 


 アイテムボックスから、テントを取り出し置いた。


 少し面積は広いけど、私だけのキャンプが出来る場所はいい! カマドの近くにテントを出して、テーブルと椅子、淹れたてのコーヒーを飲みながらゆったり本を読む。


 1人キャンプ――この空間が好きだったなぁ。

 今はサタ様、アール君、みんながいる賑やかなキャンプになったけど、それも好き。


「エルバ、タクスとママ様の連絡は明日にして、風呂に入りたい」

 

「ボクも入りたいです」

 

「お風呂? なになに? アビに教えて?」

「風呂? でござるか?」

「風呂とは……人間が入る熱いお湯だな」

「お風呂? 父さん母さん知ってる?」


 少し知っているパワー様以外、アビス君、ラッテさん、ソーロ君の家族はお風呂? と言って首を傾げた。


「サタ様とアール君以外はお風呂が初めてかぁ~。じゃ、今日のお風呂はどうするかな?」


 私はテントの前で考える。


 ……まずは、ベッドからサタ様とアール君、パワー様とラッテさん、アビス君、ソーロ君家族と自分。


 大きめのベッドが11人分とトイレ五つ。

 広く、ミルキーホワイト・乳白色の露天風呂と小さな水風呂を想像した。水風呂はお湯に入って湯でタコになったら? と考えてパワー様用に用意した。


「よし、出来たよ。みんなテントの中に入ってみて!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る