第116話
「ソーロが探している、勇者と新魔王はここに居るぞ」
「は、い⁉︎」
黒キツネのソーロさんは細めをまんまるにした。そうだよね、ズッと探していて、いないからアマリアさんの使い魔(ウソ)になってまで探していた、2人があっさり見つかったのだもの。
2人は、申し訳なさそうにペコっと頭を下げた。
「まあ、2人にも事情があるんだ許せ。だがの、ソーロ。2人よりもっと頼りになる、ワタシのあるじを連れて行った方が、いいんじゃ無いか?」
「サタナス様のあ、る、じ⁉︎」
「優秀なボクの主でもあります!」
ソーロさんは訳がわからず、サタ様とアール君を交互に見て首を傾げる。ちょっと、ハードルを上げられると困るけど、私に出来ることだったら手伝いたい。
「エルバ、ソーロの家族を見てやってくれるか?」
「いいよ、コーサック森の植物が気になる!!」
「では、さっそく向かいますか」
「余も行きたい。ま、待ってくれ――余の住処に、転移魔法陣を描いてくる」
海の王パワー様はフワフワ飛んでいった。モフモフ羊のローザンとモサモサ頭のグルナ。2人も着いて行きたそうだけど、彼らは学園の学生なのでサタ様が卒業したら冒険に行こうと話して2人は納得した。
2人が宿屋戻り、ソーロさんは荷物まとめに行き、2人の帰りを待つ間、私達はマーレ港街を散策することにした。森と近接した港街の漁港のレンガ建の市場。
箱に氷と一緒に引き詰められた魚。
あれは大アサリ? 大ホタテ? 小エビと大エビ? カニ……あ、タコ、イカに似たものも売ってる。
――まあ、異世界での名前は違うのだろうけど、味は一緒!
大きなアサリとホタテはバターソテー、カニとエビは茹でてレモンマヨソースで、タコとイカはお好み焼き? 出来れば干物も欲しい。新鮮な魚を買ってお刺身にしてもいいけど。コンロの上でじっくり焼いて、ダイダイコンのおろしと一緒にコメと食べたい!
「あ、干物が売ってる」
「エルバまて」
「エルバ様!」
このお店、いろんな干物が売っているけど、隣の飲食店のメニュー。ここでは干物を焼いて食べるのではなく、オリーブ、トマトと煮込む……煮込み料理。
気になる!
美味しそうだけど。今日は干物を焼いて食べたいので、見たことがあるような魚を数枚ずつ買い。アサリ、ホタテ、エビとカニ、タコ、イカも買って、アイテムボックスにしまった。あったら、かつお節も欲しいけど、ないよね……作り方も料理博士に聞いても、難しそう。
他の店を眺めて、みんなが気になったものを買っていた。その前をゆくサタ様の足が止まる。
「どうしたの?」
「エルバ、アール、そこの店……」
「はい、サタ様も気付きましたか」
「そこの店がどうしての? って、ええ――!」
人に化けて入るけど、魚介のレンモンマヨソースのサンドイッチエビのバターソテーにはじまり。チーズピザ、おむすび、エビとカニのグラタン――ここにも、鬼人さんの店があった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます