第97話
パパ達を見て、はじめは相撲かと思ったが違った。
パパと、アウドラムパパの後ろには線が引いてあり、ドゴーーンと砂煙を立ち上げて、パパ2人は体当たりを繰り返す。
「「グッ!」」
「パパ⁉︎」
「大丈夫だ、エルバ。後ろの線から出たら負けになる、ワタシ達の勝負だ! さすが体力が高い2人の戦いは迫力が違うな!」
「はい、覇気が違います!」
サタ様と、アール君は興奮しながら観戦しはじめた。
よく見ると、側で作業を手伝っている鬼人、ドロシアさん、エバァさん、ヌヌ君も声援をあげて見ていた。
一緒に来たワイルドポポーのゲンさんも、興奮して戦いたいといっている。
(男の人って……)
一度戦いだしたら止まらないだろう、終わるまで待つしかないと座った隣に、地面から葉を放射状に生やした薬草を見つけた。
博士これは何?
《オオバコンといいます》
オオバコンか。
効能は?
《食用、葉っぱを乾燥させ煎じて飲みますと、ダイエットの効果あり》
効能はトンガリ草と同じか、だけどダイエットに効くのはいい。
博士、タネを頂戴。
《かしこまりました、オオバコン草のタネをどうぞ》
ありがとう!
博士にタネをもらい、エルバの畑を開きタネを植えた。
そのオオバコンのそのそばに、小さな青い花を咲かせる薬草を見つけた。名前はツユツユ草で花ごとすり潰すと、痒み止めの塗り薬になる。
ふむふむ。
このタポポ草はおひたしにしたり、生薬はビタミン補給ができる。カタリ草はすり潰して切り傷、湿疹が和らぐ。
博士にタネを貰って植えて、次は?
「エルバ、そこでストップ! それ以上はまだ開拓が進んでいない森だ」
「え?」
薬草の発見に夢中でみんなから離れ、森の一歩手前まで来ていた。サタ様に止められなかったら、ズンズン森の中を進んでいただろう。
夢中になりすぎたよ。
「ハハ、まったく気付かなかった」
「領地の話をするぞ、こっちに戻ってこい」
「はーい」
パパとアウドラムパパの勝負は、引き分けだったみたい。お疲れさまと、久しぶりに会ったパパに飛びついた。
「エルバ、元気にしていたか?」
「元気だよ、パパとママは?」
2人とも元気で、ママはアンズキをどう炊けば美味しくなるかの研究中。実験用のアンズキがなくなりそうだから、欲しいって言っていたとパパから聞いた。
後で、ママにたくさん収穫して渡そうと。
「エルバ達の家はどこに建てる?」
「家?」
手書きの領地地図を囲みパパに説明を受けた。中央に木を植えるか広場にするかとか。
アウドラム家族、ワイルドポポーのゲンさんの家と、私達の家を作ってくれるらしい。
「私はテントが置けるといいです。前にはカマドが3つくらいあって、あと、ピザ窯とか欲しい」
「エルバ、ピザとはなんだ?」
サタ様が食い付き、みんなも気になるようだ。
「簡単に言えば、パン生地を高さ五ミリくらいに薄く伸ばして、ケチャップを塗って好きな具材とチーズを乗せて焼くのがピザだよ」
「チーズ?」
「初めて聞きます」
「食べたい」
サタ様、アール君、パパ達から声が上がる。
牛乳を使って作る、焼くと伸びる食べ物で通じる?
よし、ここはまだ知らないでいこう!
「まだ、作りかたは調べないと分からないけど。チーズが無しでもピザは出来るとは思う。マヨネーズ、黒コショウを使って、ジャロ芋を薄く切って乗せるとかね」
うおっ? サタ様とアール君、鬼人、パパ達の瞳が食べたいって言ってるぅ!
「わかった、今から作るね」
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